消化器外科の担当医から処方する薬剤について、せん妄対策チームに相談があった。チー…
76 歳男性。身長 165 cm、体重 55 kg。月に1 回程度の機会飲酒(1 回日本酒1 合程度)。3 週間後に、消化器外科にて食道がんの全摘出手術を施行する予定である。外来受診の際に、この患者より「10 日前から、夜眠れない日が続いています。辛いです。」と担当医に相談があった。患者は2 年前に、せん妄を発症した経験があるため、担当医は入院中のせん妄発症に注意が必要と考えている。また、担当医は夜眠れないことも、せん妄のリスクと考え、せん妄発症リスクの低い睡眠導入剤を処方したいと考えている。(電子カルテに記載されていた他院内科からの処方内容)シタグリプチンリン酸塩錠 50 mg 1 回1 錠(1 日1 錠)1 日1 回 朝食後 14 日分フルボキサミンマレイン酸塩錠 50 mg 1 回1 錠(1 日2 錠)1 日2 回 朝夕食後 14 日分(前回外来受診時の身体所見及び検査値)血圧 126/77 mmHg、脈拍 71 拍/分、血清クレアチニン 0.75 mg/dL、BUN 17.0 mg/dL、eGFR 76.7 mL/min/1.73 m²、AST 21 IU/L、ALT 20 IU/L、γ-GTP 22 IU/L、空腹時血糖 121 mg/dL、HbA1c 6.7%
消化器外科の担当医から処方する薬剤について、せん妄対策チームに相談があった。チーム内の薬剤師が提案する薬剤として最も適切なのはどれか。1つ選べ。
- ⑴ ラメルテオンラメルテオンはフルボキサミンのCYP1A2阻害で血中濃度が大きく上昇するため併用禁忌で、提案できません。
- ⑵ フルニトラゼパムベンゾジアゼピン系のフルニトラゼパムはせん妄を誘発しやすく、せん妄既往のある高齢者には不適切です。
- ⑶ レンボレキサントオレキシン受容体拮抗薬はせん妄リスクが低く、フルボキサミンとの併用も禁忌ではないため最も適切です。
- ⑷ ゾルピデム酒石酸塩ゾルピデムはGABAA受容体に作用する非ベンゾジアゼピン系でもせん妄や転倒の原因となり、最適ではありません。
- ⑸ クエチアピンフマル酸塩クエチアピンは高血糖のおそれから糖尿病患者には禁忌であり、シタグリプチンを服用中のこの患者には使えません。
解説
正解は⑶です。オレキシン受容体拮抗薬のレンボレキサントは覚醒を維持するオレキシンの働きを抑えて自然に近い睡眠を促し、せん妄の発症リスクが低いとされています。ラメルテオンもせん妄リスクの低い睡眠薬ですが、この患者が服用しているフルボキサミンが強力なCYP1A2阻害作用で血中濃度を著しく上昇させるため併用禁忌です。フルニトラゼパムなどのベンゾジアゼピン系やゾルピデムはせん妄を誘発しやすく、高齢者では避けます。クエチアピンは糖尿病患者に禁忌です。
出典:厚生労働省ホームページ(https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000198929.html)を加工して作成