抗血栓薬の中和目的で手術に備えて準備することを提案する薬物として、適切なのはどれ…
54 歳男性。身長 171 cm、体重 65 kg。脳梗塞の既往あり。通勤中の午前8時頃、回転性めまいを自覚して駅で転倒し、救急搬送された。意識消失や明らかな外傷はなかったが、繰り返し嘔吐をしていた。午前9 時に病院到着後、頭部 CT で小脳に最大径 3.5 cm の出血を認め、激しいめまいと平衡障害も出現した。開頭手術が予定されており、お薬手帳を基に服用薬剤と最終服薬時刻の確認が必要となり、家族に聴取したところ、同日の朝7 時に服薬したことがわかった。(お薬手帳の内容)ビソプロロールフマル酸塩錠 2.5 mg 1 回1 錠 1 日1 回 朝食後エソメプラゾールカプセル 10 mg 1 回1 カプセル 1 日1 回 朝食後オルメサルタン錠 10 mg 1 回1 錠 1 日1 回 朝食後ダビガトランエテキシラートカプセル 75 mg1 回1 カプセル 1 日2 回 朝夕食後(臨床所見及び検査値)血圧 153/115 mmHg、脈拍 62 拍/分、AST 45 IU/L、ALT 33 IU/L、LDL-C 78 mg/dL、血清クレアチニン 0.7 mg/dL、HbA1c 5.5%
抗血栓薬の中和目的で手術に備えて準備することを提案する薬物として、適切なのはどれか。1つ選べ。
- ⑴ イダルシズマブダビガトランに特異的に結合して抗凝固作用を速やかに中和するため、手術前に準備すべき薬として正答です。
- ⑵ プロタミンプロタミンはヘパリンの中和薬であり、ダビガトランの作用は中和できません。
- ⑶ 乾燥濃縮人プロトロンビン複合体乾燥濃縮人プロトロンビン複合体は主にワルファリンの作用の緊急是正に用いる薬で、第一選択ではありません。
- ⑷ アンデキサネット アルファアンデキサネット アルファはアピキサバンなど第Ⅹa因子阻害薬の中和薬で、ダビガトランには無効です。
- ⑸ メナテトレノンメナテトレノン(ビタミンK2)はワルファリンの拮抗に用いるもので、ダビガトランには効果がありません。
解説
正解は⑴です。患者は直接トロンビン阻害薬のダビガトランを当日朝に服用しており、小脳出血に対する開頭手術の前に抗凝固作用を中和する必要があります。イダルシズマブはダビガトランに特異的に結合するヒト化モノクローナル抗体の断片で、ダビガトランの抗凝固作用を速やかに中和します。プロタミンはヘパリン、プロトロンビン複合体やメナテトレノンはワルファリン、アンデキサネット アルファは直接作用型第Ⅹa因子阻害薬の中和に用いる薬です。
出典:厚生労働省ホームページ(https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000198929.html)を加工して作成