本症例における薬剤師の対応として正しいのはどれか。1つ選べ。
79 歳男性。身長 165 cm、体重 47 kg。口渇が著明で、発熱や咳嗽を主訴に総合病院を受診し、入院後に誤嚥性肺炎と診断され、入院当日から処方1 による治療が開始された。(処方1 )点滴静注 注射用アンピシリンナトリウム・スルバクタムナトリウム(3 g/バック 1 バック) 3 g1 日4 回 朝昼夕食後・就寝前 1 時間かけて投与 5 日連日投与喀痰培養検査で、Klebsiella pneumoniae が同定され、薬剤感受性試験の結果は以下のとおりであったが、肺膿瘍は認められなかった。(薬剤感受性試験の結果)抗菌薬 MIC(μg/mL) 判定アンピシリン ≧ 32 Resistant(耐性)ピペラシリン ≧ 128 Resistant(耐性)セフトリアキソン ≦1 Susceptible(感性)タゾバクタム・ピペラシリン ≦ 16 Susceptible(感性)この結果を踏まえて、新たな抗生物質の投与により、誤嚥性肺炎は軽快に向かったが、軽度の舌苔が認められた。含嗽はしていたが、12 日目より口腔咽頭カンジダ症を発症したため、処方2 が追加となった。(処方2 )イトラコナゾール経口液1 %1 回 20 mL(1 日 20 mL)1 日1 回 空腹時 7 日分また、食事摂取困難な日が継続していたことから、栄養摂取方法について検討がなされた。
本症例における薬剤師の対応として正しいのはどれか。1つ選べ。
- ⑴ 薬剤感受性試験結果より、処方1 の薬剤をピペラシリンへ切り替えるよう提案した。感受性試験でピペラシリンは耐性と判定されており、切り替え先として不適切です。
- ⑵ 新たな抗生物質への切り替え後は、少なくとも 30 日以上投与することを提案した。肺膿瘍のない誤嚥性肺炎で30日以上の投与は不要で、漫然とした投与は耐性菌のリスクを高めます。
- ⑶ 処方2 の薬剤は、服薬時に数秒間口に含み、口腔内全体に行き渡らせた後に嚥下する旨を患者に指導した。口腔咽頭カンジダ症では薬液を口腔内全体に行き渡らせてから嚥下するのが適切な服薬指導であり、正答です。
- ⑷ 食事摂取困難の対応として、フルカリック輸液(注)を末梢静脈から投与するよう提案した。高カロリー輸液は浸透圧が高く静脈炎を起こすため、末梢静脈ではなく中心静脈から投与します。
- ⑸ 誤嚥が認められた場合の対応として、ジフェンヒドラミンの使用を提案した。(注:総合ビタミン・糖・アミノ酸・電解質を含む高カロリー輸液)ジフェンヒドラミンは鎮静・抗コリン作用で嚥下機能や咳反射を低下させ、誤嚥を助長するおそれがあります。
解説
正解は⑶です。イトラコナゾール経口液は口腔咽頭カンジダ症に対して局所でも作用させるため、数秒間口に含んで口腔内全体に行き渡らせてから嚥下するよう指導します。感受性試験ではピペラシリンが耐性であり、切り替え先として不適切です。肺膿瘍のない誤嚥性肺炎では抗菌薬を30日以上投与する必要はありません。高カロリー輸液は浸透圧が高く中心静脈から投与します。ジフェンヒドラミンは鎮静作用で嚥下機能を低下させ、誤嚥を助長するおそれがあります。
出典:厚生労働省ホームページ(https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000198929.html)を加工して作成