処方1 の薬剤が持効性を示す機構として、正しいのはどれか。1つ選べ。
36 歳女性。糖尿病の家族歴あり。妊娠のため、近隣の産婦人科クリニックを受診した。妊娠初期から定期的に血糖測定していたところ、血糖値の上昇傾向が見られ、食事療法を行っていた。妊娠24 週時(妊娠中期)に実施した75 g ブドウ糖負荷試験で、空腹時血糖値98 mg/dL、1 時間値192 mg/dL、2 時間値180 mg/dLであったため、紹介された総合病院に管理入院し、食事療法に加えて、血糖自己測定及びインスリン療法が導入された。(処方1 )インスリンデテミル(遺伝子組換え) 300 単位/3 mL 1 筒1 回3 単位 1 日1 回 就寝前 皮下注射(自己注射)(処方2 )インスリンアスパルト(遺伝子組換え) 300 単位/3 mL 1 筒1 回3 単位 1 日3 回 朝昼夕食直前 皮下注射(自己注射)(入院時検査値)白血球8,500/μL、Hb 12.0 g/dL、血小板32.0 × 10⁴/μL、随時血糖178 mg/dL、HbA1c 5.7%
処方1 の薬剤が持効性を示す機構として、正しいのはどれか。1つ選べ。
- ⑴ インスリン分子を結晶化することで、溶解性を低下させた。インスリンを結晶化して溶解性を下げるのは亜鉛を用いた結晶性インスリン製剤の機構で、インスリンデテミルではありません。
- ⑵ 投与後、皮下組織において、インスリン分子が安定した可溶性のマルチヘキサマーを形成するようにした。皮下で可溶性のマルチヘキサマーを形成して持効化するのは、インスリンデグルデクの機構です。
- ⑶ インスリン分子の等電点を改変することで、生理的なpH で微細な沈殿物を形成するようにした。等電点を改変して生理的pHで微細な沈殿を形成させるのは、インスリングラルギンの機構です。
- ⑷ インスリン分子に脂肪酸を結合させることで、血中でアルブミンと複合体を形成するようにした。インスリンデテミルはミリスチン酸を結合させてあり、血中でアルブミンと複合体を形成することで作用が持続します。
- ⑸ インスリン分子をプロタミン硫酸塩との複合体とすることで、溶解速度を低下させた。プロタミンとの複合体で溶解速度を下げるのは、中間型のNPHインスリン(イソフェンインスリン)の機構です。
解説
正解は⑷です。処方1のインスリンデテミルは、インスリン分子のB鎖29位のリシンにミリスチン酸(脂肪酸)を結合させた持効型溶解インスリンアナログです。皮下でのインスリン分子どうしの会合と、血中でのアルブミンとの可逆的な結合により、ゆっくり作用して効果が持続します。等電点を変えて生理的pHで沈殿させるのはインスリングラルギン、可溶性マルチヘキサマーを形成するのはインスリンデグルデク、プロタミンとの複合体はNPHインスリンの持続化の仕組みです。
出典:厚生労働省ホームページ(https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000198928.html)を加工して作成