この患者に処方された処方1 ~4 の薬剤のうち、Clostridioides d…
61 歳女性。肺アスペルギローマの既往。急性リンパ性白血病と診断され、シタラビン大量療法が施行された。療法開始から15 日目に固形成分を含まない水様性便となったため、副作用の対応として処方1 ~4 の薬剤で治療開始された。しかし、症状が悪化したことから、5 日後に糞便検体を採取して検査した結果、toxin A 及びtoxin B が陽性であった。Clostridioides difficile 感染症の院内での拡大を防止するため、院内のチームで対策を検討することになった。(処方1 )点滴静注 メロペネム点滴静注用(1 g/バイアル 1 本)1 g生理食塩液100 mL1 日3 回8 時間ごと 30 分かけて投与 7 日連日投与(処方2 )イトラコナゾール錠100 mg 1 回1 錠(1 日1 錠)1 日1 回 朝食直後 7 日分(処方3 )ロペラミド塩酸塩カプセル1 mg 1 回1 カプセル(1 日2 カプセル)1 日2 回 朝夕食後 7 日分(処方4 )メトクロプラミド錠5 mg 1 回1 錠(1 日3 錠)酪酸菌(宮入菌)製剤錠20 mg 1 回2 錠(1 日6 錠)1 日3 回 朝昼夕食前 7 日分
この患者に処方された処方1 ~4 の薬剤のうち、Clostridioides difficile 感染症を誘発し、下痢を悪化させた可能性のある薬剤はどれか。1つ選べ。
- ⑴ メロペネム点滴静注用メロペネムは広域スペクトルの抗菌薬で、腸内細菌叢を乱してC. difficileの増殖を招き、感染症を誘発し得ます。
- ⑵ イトラコナゾール錠イトラコナゾールはアゾール系の抗真菌薬で、細菌叢への影響は小さく、C. difficile感染症の誘発因子ではありません。
- ⑶ ロペラミド塩酸塩カプセルロペラミドは腸管運動を抑えて毒素の排出を遅らせるため使用は避けるべきですが、感染症そのものを誘発する薬ではありません。
- ⑷ メトクロプラミド錠メトクロプラミドは消化管運動促進薬で、腸内細菌叢を乱してC. difficile感染症を誘発する薬ではありません。
- ⑸ 酪酸菌(宮入菌)製剤錠酪酸菌(宮入菌)製剤は腸内細菌叢を整える整腸剤で、C. difficile感染症を誘発する薬ではありません。
解説
正解は⑴です。Clostridioides difficile感染症は、抗菌薬の投与で腸内細菌叢が乱れ、抗菌薬に抵抗性のC. difficileが増殖して毒素(toxin A・B)を産生することで発症します。広域スペクトルをもつカルバペネム系のメロペネムは、腸内細菌叢を大きく乱すため誘発の原因になり得ます。イトラコナゾールは抗真菌薬で細菌叢への影響は小さく、ロペラミドは毒素の排出を妨げて病態を悪化させ得ますが誘発因子ではありません。酪酸菌製剤は整腸剤です。
出典:厚生労働省ホームページ(https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000198928.html)を加工して作成