講義で伝える内容として、適切なのはどれか。2つ選べ。
保険薬局に勤務している薬剤師が、看護学校の講師を担当することになった。講義では、植物に含まれている麻薬成分が医療用麻薬として使用されていることを紹介することにした。最近、高度のがん疼痛のある患者が、その初回の服薬を躊躇した事例を経験したことから、その場合の対応や、現場での医療用麻薬の有効な使い方についても講義しようと考えている。患者が服薬を躊躇した事例の処方薬は、モルヒネ塩酸塩水和物徐放性カプセルとモルヒネ塩酸塩水和物内用液であった。
講義で伝える内容として、適切なのはどれか。2つ選べ。
- ⑴ オピオイドを定期的に鎮痛に必要な量で投与すれば、がん患者の生命予後に影響を与えない。適切な量のオピオイドを定期的に投与しても、がん患者の生命予後に悪影響を与えないことが示されています。
- ⑵ がん疼痛管理にオピオイドを使用する場合、精神依存が生じる可能性は低く、オピオイドの使用を控える理由とはならない。痛みがある患者にオピオイドを適正使用した場合、精神依存はまれであり、使用を控える理由にはなりません。
- ⑶ 服薬を躊躇したこの高度のがん疼痛のある患者に対しては、弱オピオイドを提案する。高度のがん疼痛には強オピオイドが適応です。服薬をためらう理由(依存や副作用への不安)を確認し、説明で解消を図ります。
- ⑷ 高度の腎機能障害がある患者に対しては、この事例の処方薬の投与を推奨する。モルヒネは活性代謝物(M6Gなど)が腎排泄されるため、高度腎機能障害では蓄積して副作用が出やすく、推奨されません。
- ⑸ がん疼痛の突出痛がある場合、オピオイドの徐放製剤をレスキュー薬として投与する。突出痛へのレスキュー薬には、効果発現の速い速放性製剤(モルヒネ内用液など)を用います。徐放製剤は不適切です。
解説
正解は⑴と⑵です。がん疼痛に対してオピオイドを痛みに見合った量で定期投与しても、生命予後を短縮させることはないとされています。また、痛みがある状態でオピオイドを適正に使用する場合、精神依存が生じる可能性は低く、使用を控える理由にはなりません。高度の痛みには最初から強オピオイドを用いるのが原則で、服薬をためらう患者には不安や誤解に対する説明が大切です。モルヒネは腎障害で代謝物が蓄積するため避け、突出痛には速放性製剤を用います。
出典:厚生労働省ホームページ(https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000198928.html)を加工して作成