病棟カンファレンスに参加する際、この治療に関して担当薬剤師が留意する情報として、…
52 歳男性。身長167 cm、体重56 kg。最近、右首のくぼみあたりに腫れやしこりがあり、近医を受診した。医師の診察により、頸部リンパ節腫大を認めたため、医師は精査目的で地域医療支援病院の血液内科を紹介した。病変部位の生検の結果、ホジキンリンパ腫と診断された。3 日後からABVD 療法を開始する予定である。(ABVD 療法)投与 投与投与量時間 スケジュール(処方1 )ドキソルビシン塩酸塩注射用 25 mg/m²/day 30 分 day 1,15(処方2 )ブレオマイシン塩酸塩注射用 10 mg/m²/day 30 分 day 1,15(処方3 )ビンブラスチン硫酸塩注射用 6 mg/m²/day 15 分 day 1,15(処方4 )ダカルバジン注射用 375 mg/m²/day 60 分 day 1,151 コースは28 日間で、4 コースを実施する。なお、4 コース実施後にISRT(病巣部放射線照射療法)を施行予定
病棟カンファレンスに参加する際、この治療に関して担当薬剤師が留意する情報として、適切なのはどれか。2つ選べ。
- ⑴ 処方1 の薬剤は過剰な塩化物イオンにより分解するため、生理食塩液との混和を避けること。ドキソルビシンは生理食塩液や注射用水で溶解して用いることができます。塩化物イオンで分解する注意は、オキサリプラチンなどの薬剤に当てはまります。
- ⑵ 処方2 の薬剤の累積投与量の増加に伴い、肺機能の低下に注意すること。ブレオマイシンは累積投与量の増加に伴い肺線維症などの肺障害が起こりやすく、肺機能の低下に注意が必要です。
- ⑶ 処方3 の薬剤は非壊死起因性抗がん剤であるため、薬液が血管外へ漏出しても投与を継続すること。ビンブラスチンなどのビンカアルカロイドは起壊死性抗がん剤であり、漏出時は直ちに投与を中止して対処します。
- ⑷ 処方4 の薬剤は光に不安定であり、光分解によって血管痛の原因となる物質が生じるため、点滴容器及び経路全体を遮光して投与すること。ダカルバジンは光により分解し、血管痛を起こす物質が生じるため、点滴容器と投与経路全体を遮光します。
- ⑸ ABVD 療法の催吐性リスクは軽度のため、ドンペリドンの嘔気時服用で対処すること。ダカルバジンを含むABVD療法は催吐性リスクが高いため、5-HT3受容体拮抗薬やデキサメタゾンなどの予防的な制吐療法が必要です。
解説
正解は⑵と⑷です。ブレオマイシンは累積投与量の増加に伴って間質性肺炎・肺線維症のリスクが高まるため、呼吸器症状や肺機能に注意します。ダカルバジンは光に不安定で、光分解物が血管痛の原因となるため、点滴容器だけでなく経路全体を遮光して投与します。ビンブラスチンは起壊死性抗がん剤であり、血管外漏出時は直ちに投与を中止します。また、ダカルバジンは高度催吐性リスクに分類されるため、制吐薬の予防投与が必要です。
出典:厚生労働省ホームページ(https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000198928.html)を加工して作成