65 歳男性。30 年前の検査でB 型肝炎ウイルス(HBV)陽性であったが、症状…
65 歳男性。30 年前の検査でB 型肝炎ウイルス(HBV)陽性であったが、症状もなく長年未治療のまま放置していた。最近になり、倦怠感、腹部膨満感及びめまい、ふらつきが強くなり、家族に連れられて受診したところ、非代償性肝硬変と診断を受け緊急入院となった。検査の結果、腹水が観察され血圧も高値であり、内服薬が開始されることになった。患者は日頃より便秘を訴えており、現在、食事は可能であるが摂取量が減ってきている。また、血中アンモニアが198 μg/dL と高値を示している。以下が入院後の処方である。(処方1 )アムロジピン口腔内崩壊錠5 mg 1 回1 錠(1 日1 錠)フロセミド錠40 mg 1 回1 錠(1 日1 錠)スピロノラクトン錠25 mg 1 回2 錠(1 日2 錠)1 日1 回 朝食後 3 日分(処方2 )テノホビル アラフェナミドフマル酸塩錠25 mg1 回1 錠(1 日1 錠)1 日1 回 朝食後 3 日分(処方3 )ウルソデオキシコール酸錠100 mg 1 回2 錠(1 日6 錠)1 日3 回 朝昼夕食後 3 日分(処方4 )酸化マグネシウム錠330 mg 1 回2 錠(1 日6 錠)ラクツロースゼリー分包12 g/包 1 回1 包(1 日3 包)分岐鎖アミノ酸配合経口ゼリー剤20 g/個 1 回1 個(1 日3 個)1 日3 回 朝昼夕食後 3 日分処方に対する薬剤師のアセスメント等として、適切なのはどれか。2つ選べ。
- ⑴ 高血圧に対してアムロジピンでコントロールが不十分な場合には、テルミサルタンの追加を提案する。テルミサルタンは主に胆汁中に排泄され、重篤な肝障害のある患者には禁忌のため、追加の提案は不適切です。
- ⑵ 利尿剤による過度の脱水は、肝性昏睡(肝性脳症)を誘発する可能性があるため、利尿薬の投与量に注意が必要である。過度の利尿による脱水や低カリウム血症は肝性脳症の誘因となるため、利尿薬の量に注意が必要です。
- ⑶ 今後肝機能の改善が見られない場合には、ウルソデオキシコール酸を中止し、アセチルシステインを提案する。アセチルシステインはアセトアミノフェン中毒の解毒薬で、肝硬変の肝機能改善に用いる薬ではありません。
- ⑷ テノホビルは、投与中止により肝炎の重症化を起こすことがあるため、患者に自己判断で中止しないように指導する。核酸アナログ製剤の中止で肝炎が再燃・重症化することがあるため、自己判断で中止しないよう指導します。
- ⑸ 分岐鎖アミノ酸製剤は非代償性肝硬変の治療に必須のため、今後食事が摂取できなくなっても継続する必要がある。分岐鎖アミノ酸製剤は食事摂取量に応じて栄養療法の中で用いるもので、食事が摂れなくなれば治療全体を見直します。
解説
正解は⑵と⑷です。非代償性肝硬変では、利尿薬による過度の脱水や電解質異常が腎機能低下やアンモニア上昇を招き、肝性脳症を誘発するおそれがあるため、利尿薬の投与量に注意が必要です。テノホビル アラフェナミドなどの核酸アナログ製剤は、投与を中止するとB型肝炎が再燃し重症化することがあるため、自己判断で中止しないよう指導します。テルミサルタンは胆汁排泄型で重篤な肝障害に禁忌であり、アセチルシステインはアセトアミノフェン中毒の解毒薬です。
出典:厚生労働省ホームページ(https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000198926.html)を加工して作成