医師との合同カンファレンスにおいて、医師から薬剤師へ投与13 日目以降の薬物治療…
60 歳女性。右上葉原発性肺腺がんと診断され、右上葉切除術が施行された。その後、術後補助化学療法が施行され経過観察となった。術後4 年経過時、胸部CT 写真で右鎖骨上窩リンパ節に転移が認められ、再発と診断された。ALK 融合遺伝子陽性が確認されたため、クリゾチニブ250 mg、1 日2 回の投与による治療が開始された。投与13 日目時点でリンパ節の腫瘍は縮小傾向を認めた。各時点における主な検査値は以下のとおりである。肝機能検査値 投与前 8 日目 13 日目AST(IU/L) 30 100 350ALT(IU/L) 30 120 400ALP(IU/L) 200 600 2,000総ビリルビン(mg/dL) 1.0 1.1 1.3
医師との合同カンファレンスにおいて、医師から薬剤師へ投与13 日目以降の薬物治療について意見を求められた。薬剤師の提案として、適切なのはどれか。1つ選べ。
- ⑴ 本剤の投与を同一用量のまま継続し、他剤の追加は行わない。AST・ALT が著しく上昇しているため、同一用量での継続は肝障害を悪化させるおそれがあります。
- ⑵ 本剤の投与を同一用量のまま継続し、グリチルリチン酸一アンモニウム・グリシン・L-システイン塩酸塩水和物を追加する。薬剤性の重度肝障害では原因薬の休薬が優先で、肝庇護薬を追加して同一用量で継続するのは不適切です。
- ⑶ 本剤の投与を中止し、緩和ケアのみの治療へ変更する。腫瘍は縮小しており、ほかの ALK 阻害薬による治療の選択肢もあるため、緩和ケアのみへの変更は早すぎます。
- ⑷ 本剤の投与を休止し、アレクチニブ塩酸塩へ変更する。クリゾチニブを休止し、別の ALK 阻害薬であるアレクチニブに変更して治療を続けるのが適切です。
- ⑸ 本剤の投与を休止し、ソラフェニブトシル酸塩へ変更する。ソラフェニブは肝細胞がんや腎細胞がんなどに用いるマルチキナーゼ阻害薬で、ALK 陽性肺がんの適応はありません。
解説
正解は⑷です。クリゾチニブ投与13日目には AST・ALT が基準の10倍以上に上昇しており、重度の肝機能障害が生じています。添付文書では、このような場合は本剤を休薬し、回復後に減量して再開するか中止することとされています。腫瘍は縮小しており治療効果は得られているため、緩和ケアのみに移行するのではなく、同じ ALK 阻害薬で肝障害のプロファイルが異なるアレクチニブへの変更を提案するのが適切です。
出典:厚生労働省ホームページ(https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000198924.html)を加工して作成