薬剤師が医師へ提案すべき解毒薬はどれか。1つ選べ。
84 歳男性。身長 165 cm、体重 60.5 kg。直腸がん(Stage Ⅲb)に対して、腹腔鏡下直腸切断術が施行された。術後疼痛管理のためアセトアミノフェン静注液1,000 mg を手術当日に1 回投与した。疼痛が継続したため、さらに術後1 日目と2 日目に1 日4 回投与した。術後3 日目の血液検査で総ビリルビン 2.63 mg/dL、AST 5,991 IU/L、ALT 4,438 IU/L であったため、アセトアミノフェン血漿中濃度を測定した結果、解毒薬の投与推奨域であった。
薬剤師が医師へ提案すべき解毒薬はどれか。1つ選べ。
- ⑴ ジメルカプロールジメルカプロールはヒ素・水銀・鉛などの重金属中毒に用いるキレート剤で、アセトアミノフェン中毒には用いません。
- ⑵ N-アセチルシステイングルタチオンの前駆体としてNAPQIの解毒を促すアセトアミノフェン中毒の特異的解毒薬であり、正答です。
- ⑶ 亜硝酸ナトリウム亜硝酸ナトリウムはメトヘモグロビンを生成させるシアン中毒の解毒薬で、本症例には不適切です。
- ⑷ プラリドキシムヨウ化物プラリドキシムは有機リン系農薬中毒でコリンエステラーゼを再賦活化する薬で、本症例には用いません。
- ⑸ フルマゼニルフルマゼニルはベンゾジアゼピン受容体拮抗薬で、ベンゾジアゼピン系薬の過量投与時に用います。
解説
正解は⑵です。アセトアミノフェンは大量投与や肝予備能の低下時に、CYP2E1などで生じる反応性代謝物N-アセチル-p-ベンゾキノンイミン(NAPQI)がグルタチオンを枯渇させ、肝細胞障害を起こします。N-アセチルシステインはグルタチオンの前駆体として補充し、NAPQIの解毒を促す特異的な解毒薬です。この症例ではAST・ALTが著明に上昇し血中濃度も投与推奨域であるため、速やかな投与を提案します。他の選択肢は別の中毒に用いる解毒薬です。
出典:厚生労働省ホームページ(https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000198929.html)を加工して作成