この患者が、このメトホルミン塩酸塩含有製剤を、1 日当たり1,500 mg の用…
海外の規制当局より、メトホルミン塩酸塩を含有する製剤(特定のロット)から N-ニトロソジメチルアミン(NDMA)が検出されたとの発表があった。10 年間にわたってメトホルミン塩酸塩含有製剤を服用してきた患者(体重50 kg)がこのニュースを見て来局し、健康に対するリスクを教えて欲しいという相談があった。そこで、公表されているNDMA の含有量を調べたところ、メトホルミン塩酸塩1,000 mg 当たり0.08 μg のNDMA が含まれていることがわかった。薬剤師は、10 年間服用した場合の発がんリスクを計算し、患者に伝えることとした。
この患者が、このメトホルミン塩酸塩含有製剤を、1 日当たり1,500 mg の用量で10 年間にわたって服用したとき、増加すると推定される発がんリスクに最も近い値はどれか。1つ選べ。ただし、NDMA の実質安全量(体重50 kg の成人が生涯(70 年間)曝露した場合に発がんリスクが1.0 × 10⁻⁵ 増加する曝露量)を0.1 μg/日とし、発がんリスクは服用量及び服用期間に比例するものとする。
- ⑴ 1.0 × 10⁻⁷1.0×10⁻⁷ではありません。0.12 μg/日を10年間摂取した場合の推定値は約1.7×10⁻⁶です。
- ⑵ 1.7 × 10⁻⁷1.7×10⁻⁷は桁が1つ小さい値です。1.0×10⁻⁵×1.2×(10/70)≒1.7×10⁻⁶になります。
- ⑶ 5.9 × 10⁻⁷5.9×10⁻⁷にはなりません。摂取量の比1.2と期間の比10/70を掛け合わせると約1.7×10⁻⁶です。
- ⑷ 1.7 × 10⁻⁶1.0×10⁻⁵×(0.12/0.1)×(10/70)≒1.7×10⁻⁶となります。
- ⑸ 5.9 × 10⁻⁵5.9×10⁻⁵では、実質安全量を生涯摂取した場合のリスク(1.0×10⁻⁵)より大きくなり、計算が合いません。
解説
正解は⑷です。メトホルミン塩酸塩1,000 mg当たりNDMA 0.08 μgなので、1日1,500 mgでは0.12 μg/日を摂取します。実質安全量0.1 μg/日を70年間摂取したときのリスク増加が1.0×10⁻⁵であり、リスクは摂取量と期間に比例するとします。よって、1.0×10⁻⁵×(0.12÷0.1)×(10÷70)≒1.7×10⁻⁶となります。これは生涯リスク10⁻⁵を下回る小さな値です。摂取量の比と期間の比の両方を掛けることが計算のポイントです。
出典:厚生労働省ホームページ(https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000198928.html)を加工して作成