NDMA が検出されたメトホルミン塩酸塩を服用したことによるリスクは極めて低く、…
海外の規制当局より、メトホルミン塩酸塩を含有する製剤(特定のロット)から N-ニトロソジメチルアミン(NDMA)が検出されたとの発表があった。10 年間にわたってメトホルミン塩酸塩含有製剤を服用してきた患者(体重50 kg)がこのニュースを見て来局し、健康に対するリスクを教えて欲しいという相談があった。そこで、公表されているNDMA の含有量を調べたところ、メトホルミン塩酸塩1,000 mg 当たり0.08 μg のNDMA が含まれていることがわかった。薬剤師は、10 年間服用した場合の発がんリスクを計算し、患者に伝えることとした。
NDMA が検出されたメトホルミン塩酸塩を服用したことによるリスクは極めて低く、これまでに国内外において重篤な健康被害が発生したとの報告はない。この患者に対する薬剤師の説明内容として、適切なのはどれか。2つ選べ。
- ⑴ NDMA によるがんの発症には、閾値があること。NDMAのような遺伝毒性発がん物質は閾値がないと考えられており、そのため実質安全量の考え方でリスクを評価します。
- ⑵ 摂取したNDMA の量は、実質安全量を下回っていること。1日0.12 μgを10年間の摂取は、生涯に換算すると実質安全量を下回るリスクであり、そのことを説明できます。
- ⑶ 他の同種同効薬に変更する必要があること。リスクは極めて低く、健康被害の報告もないため、直ちに同種同効薬へ変更する必要があるとはいえません。
- ⑷ 血糖値が落ち着いていれば服用を止め、次回受診時に医師に報告すること。糖尿病治療薬を自己判断で中止すると血糖コントロールが悪化するため、服用の継続や変更は医師と相談して決めます。
- ⑸ 必要に応じて、発がんリスクに関する情報を医師に提供できること。患者の不安に応えるため、必要に応じて発がんリスクの情報を医師に提供し、治療方針の相談につなげられます。
解説
正解は⑵と⑸です。前問の計算から、この患者が10年間に摂取したNDMAの量は、生涯摂取しても発がんリスク増加が1.0×10⁻⁵にとどまる実質安全量を下回っています。この結果をもとに、リスクは極めて低いことを説明します。また、必要に応じて発がんリスクに関する情報を医師に提供できることも伝えます。NDMAのような遺伝毒性発がん物質には閾値がないと考えられています。服用の中止や薬剤変更は自己判断で行わず、医師と相談して決めます。
出典:厚生労働省ホームページ(https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000198928.html)を加工して作成