この研究は、臨床研究法の臨床研究のうち特定臨床研究に該当する。該当する理由として…
大学病院で循環器内科を担当している薬剤師が、循環器内科病棟の医師から「糖尿病の治療薬である医薬品A(カプセル剤)が心不全にも効果があるという報告を聞いたので、当院でも効果を検証することを目的として、無作為化二重盲検比較試験を実施したいと考えている。認定臨床研究審査委員会に申請したいので、研究計画書について薬剤師の立場から追加や修正した方が良いところがあるかチェックしてほしい。」と依頼された。研究の概要は以下のとおりである。なお、医薬品Aは日本では心不全の適応はない。<比較試験の計画(一部抜粋)>対象患者: 成人の心不全患者(心機能はNYHA(注1)分類Ⅱ度かつ左室駆出率が低下(40%未満)した心不全(HFrEF(注2)))除外基準:重症の糖尿病患者又は重症の腎機能障害患者評価項目: 心不全で入院するまでの期間方 法: 心不全の標準治療に医薬品Aを追加服用する群(介入群)と心不全の標準治療のみを行う群(非介入群)に1:1 の比で無作為に分け、36 ケ月それぞれの治療を実施する。両群とも被験薬は病院内で調剤する。介入群には医薬品Aを、非介入群にはプラセボ薬を投与する。(注1 )NYHA:New York Heart Association(ニューヨーク心臓協会)(注2 )HFrEF:heart failure with reduced ejection fraction
この研究は、臨床研究法の臨床研究のうち特定臨床研究に該当する。該当する理由として正しいのはどれか。1つ選べ。
- ⑴ 大学病院で行う研究であるため。研究の実施施設が大学病院であることは、特定臨床研究に該当する要件ではありません。
- ⑵ 無作為化二重盲検比較試験であるため。無作為化二重盲検比較試験という研究デザインは、特定臨床研究の該当要件ではありません。
- ⑶ 医薬品の適応外使用の有効性を検証する研究であるため。日本で心不全の適応がない医薬品Aを用いて有効性を検証するため、適応外使用の研究として特定臨床研究に該当します。
- ⑷ 医師主導で行う研究であるため。医師主導であることは特定臨床研究の要件ではありません。要件は適応外使用か企業からの資金提供です。
- ⑸ 侵襲を含む研究であるため。侵襲の有無は人を対象とする研究の倫理指針などで問題となるもので、特定臨床研究の該当要件ではありません。
解説
正解は⑶です。臨床研究法では、医薬品等を人に用いてその有効性や安全性を明らかにする研究を臨床研究とし、そのうち未承認・適応外の医薬品等を用いる研究と、製薬企業などから資金提供を受けて行う研究を特定臨床研究と定めています。本研究は、心不全の適応をもたない医薬品Aの心不全への効果を検証するもので、適応外使用の有効性の研究にあたるため特定臨床研究に該当します。実施施設や試験デザイン、侵襲の有無は該当理由ではない点で区別できます。
出典:厚生労働省ホームページ(https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000198926.html)を加工して作成