薬剤師がこの時点で家族や関係者に提案可能な内容として適切なのはどれか。2つ選べ。
87 歳男性。独居。日常生活に不安があるとのことで、近所に住んでいる娘が相談のため健康サポート薬局を訪れた。娘によると、男性の身体状態は比較的安定しているが、自宅は衣服が脱ぎっぱなしで、ゴミが散乱するなど以前より雑然としているとのこと。さらに、薬の飲み忘れがあり、同じことを何度も繰り返し話す、受診日を忘れることがあるとのことだった。1 年ほど前に医師からは認知機能の低下が疑われると言われている。現時点でこの男性は要介護認定(要支援を含む)を取得していない。
薬剤師がこの時点で家族や関係者に提案可能な内容として適切なのはどれか。2つ選べ。
- ⑴ 父親の行動について、医師に改めて認知機能の検査をしてもらうように提案した。認知機能低下の進行が疑われる行動変化があり、医師による再評価を提案することは適切です。
- ⑵ 低下した認知機能を元に戻す薬があるので、医師に相談するよう提案した。現在の抗認知症薬は症状の進行を遅らせるもので、低下した認知機能を元に戻すものではありません。
- ⑶ 認知症の進行とともに徘徊や転倒のリスクも増大するので、ベッドに拘束して身体活動を抑制するように伝えた。身体拘束は尊厳を損ない、筋力低下や認知症の悪化を招くため、家族に勧めるべきではありません。
- ⑷ 認知症の家族会を紹介し、同じような問題を抱えている方の助言を聞いてみてはどうかと提案した。家族会では同じ悩みをもつ家族から助言や支えが得られ、介護者の負担軽減につながります。
- ⑸ 物忘れ防止のために、セント・ジョーンズワートの服用を勧めた。セント・ジョーンズワートに物忘れ防止の効果は確立しておらず、CYP3A4誘導など相互作用の問題もあります。
解説
正解は⑴と⑷です。服薬の飲み忘れ、同じ話の繰り返し、受診日を忘れる、部屋が片付けられないなどの変化は認知機能低下の進行を示唆するため、医師に改めて認知機能の評価をしてもらうよう提案するのが適切です。また、介護する家族の負担や不安を軽くするため、同じ悩みを抱える人と交流できる認知症の家族会を紹介することも有効です。現在の抗認知症薬は進行を遅らせるもので機能を元に戻すものではなく、身体拘束も不適切です。
出典:厚生労働省ホームページ(https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000198926.html)を加工して作成