この男性患者に対する治療薬として最も適切なのはどれか。1つ選べ。
70 歳男性と60 歳女性の夫婦。2 人で、打たせ湯のある温泉施設に日帰り旅行へ行ったところ、翌日夜に女性は全身倦怠感と頭痛を伴う発熱の症状を呈したが、自宅療養し、2 日後に回復した。一方、男性は旅行から帰った5 日後に発熱し、呼吸困難感、湿性咳嗽と胸痛の症状が見られたため、医療機関を受診したところ、肺炎と診断され入院となった。男性は身長165 cm、体重53 kg。入院時の各種検査結果は以下のとおりである。さらに、この男性が罹患している疾病に関して、尿中抗原検査及び喀痰の遺伝子増幅法検査を追加で施行した結果、いずれも陽性となった。夫婦は同じ病原体に罹患し、女性はポンティアック熱であったと考えられた。(身体所見)体温38.2 ℃、血圧101/62 mmHg、脈拍95 拍/分(整)、SpO2(ルームエアー)93%(検査所見)白血球12,000/μL、赤血球440 × 10⁴/μL、Hb 14.3 g/dL、血小板20 × 10⁴/μL、AST 25 IU/L、ALT 20 IU/L、総ビリルビン0.8 mg/dL、血清クレアチニン2.0 mg/dL、CRP 18.2 mg/dL、SARS-CoV2-PCR(鼻咽頭ぬぐい液)陰性、尿中肺炎球菌抗原検査陰性
この男性患者に対する治療薬として最も適切なのはどれか。1つ選べ。
- ⑴ レボフロキサシン細胞内移行性に優れたニューキノロン系抗菌薬で、細胞内寄生菌であるレジオネラに有効です。
- ⑵ オセルタミビルオセルタミビルはインフルエンザウイルスのノイラミニダーゼ阻害薬で、細菌性肺炎には効果がありません。
- ⑶ アモキシシリンアモキシシリンはβ-ラクタム系で細胞内に移行しにくく、細胞内寄生菌のレジオネラには無効です。
- ⑷ セフジニルセフジニルもβ-ラクタム系のセフェム系抗菌薬で、レジオネラには効果が期待できません。
- ⑸ ニルマトレルビル・リトナビルニルマトレルビル・リトナビルは新型コロナウイルス感染症の治療薬で、本例ではPCRも陰性です。
解説
正解は⑴です。打たせ湯のある温泉施設の利用歴、尿中抗原と喀痰の遺伝子増幅法検査の陽性、同行者のポンティアック熱から、この男性はレジオネラ肺炎と考えられます。レジオネラは細胞内寄生菌で、細胞内に移行しにくいβ-ラクタム系抗菌薬は効きません。そのため細胞内移行性のよいレボフロキサシンなどのニューキノロン系や、マクロライド系が用いられます。この患者は血清クレアチニンが2.0 mg/dLと腎機能が低下しているため、用量調整も必要です。
出典:厚生労働省ホームページ(https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000198926.html)を加工して作成