処方されたいずれかの薬物の作用機序として、正しいのはどれか。2つ選べ。
70 歳男性。肺がんによる疼痛があり、以下の処方により、在宅で緩和ケアを行っている。本日、薬剤師が患者宅を訪問し、薬学的管理指導を実施した。(処方1 )オキシコドン徐放錠10 mg 1 回1 錠(1 日2 錠)1 日2 回 12 時間毎に服用 14 日分(処方2 )オキシコドン塩酸塩水和物散5 mg 1 回1 包痛いとき20 回分(20 包)(処方3 )ナルデメジントシル酸塩錠0.2 mg 1 回1 錠(1 日1 錠)1 日1 回 朝食後 14 日分患者に痛みに関する聞き取りを行ったところ、「痛みのコントロールは良好だったが、3 日前から同じ時間帯に突然強い痛みが繰り返し起こるようになった」との情報を得た。突然の痛みの頻度を患者に尋ねたところ、「次回のオキシコドン徐放錠を服用する約2 時間前に痛みが出始めることが多く、オキシコドン塩酸塩水和物散の服用回数が5 回以上になっている」との情報を得た。なお、処方薬による副作用の症状は出ていない。
処方されたいずれかの薬物の作用機序として、正しいのはどれか。2つ選べ。
- ⑴ 電位依存性Ca²⁺ チャネルの α2δ サブユニットに結合することで、興奮性神経伝達物質の過剰な放出を抑制する。α2δサブユニットへの結合はプレガバリンやミロガバリンの作用機序で、処方薬に該当しません。
- ⑵ オピオイド μ 受容体を刺激することで、痛みの上位中枢への伝達を抑制する。オキシコドンはμ受容体を刺激し、痛みの上位中枢への伝達を抑制します。
- ⑶ 脊髄後角におけるセロトニン及びノルアドレナリンの神経終末への再取り込みを阻害することで、下行性疼痛抑制系を活性化する。セロトニンとノルアドレナリンの再取り込み阻害はデュロキセチンの機序で、処方薬に該当しません。
- ⑷ 腸管に存在するオピオイド μ 受容体を遮断することで、蠕動運動の低下を防ぐ。ナルデメジンは腸管のμ受容体を遮断し、オピオイドによる蠕動運動の低下を防ぎます。
- ⑸ 腸上皮に存在するCl⁻ チャネル2 (ClC-2)を活性化することで、腸管内への水分分泌を促進する。ClC-2の活性化はルビプロストンの作用機序で、処方薬に該当しません。
解説
正解は⑵と⑷です。処方されたオキシコドンはオピオイドμ受容体を刺激し、脊髄後角での痛みの伝達や上位中枢への伝達を抑えて鎮痛作用を示します。ナルデメジンは血液脳関門をほとんど通過しない末梢性のμ受容体拮抗薬で、腸管のμ受容体を遮断してオピオイドによる蠕動運動の低下(便秘)を防ぎつつ、中枢の鎮痛作用には影響しにくいのが特徴です。α2δへの結合はプレガバリン、再取り込み阻害はデュロキセチン、ClC-2の活性化はルビプロストンの作用機序で、いずれも今回は処方されていない薬です。
出典:厚生労働省ホームページ(https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000198925.html)を加工して作成