今回、病院を受診した患者の一部には、重篤な食中毒症状がみられた。その患者に投与す…
10 月14 日(月曜日)に小学校において、50 名の児童が発熱・嘔吐・下痢の症状で欠席し、翌日にも同様の症状でさらに65 名が欠席し児童の多くが病院を受診しているとの連絡が保健所にあった。早速、これらの患者のうち、60 名の検体について検査を行ったところ、48 名の検体から同一の病因物質を検出した。患者らの共通食は学校給食のみであり、10 月11 日(金曜日)に遠足のために給食を食べなかった学年に有症者がいないことから、給食が食中毒の原因と断定した。なお、衛生検査用に冷凍保存されていた同じ給食を調べた結果、原材料の鶏肉からも同じ病因物質を検出した。これを顕微鏡で観察したところ、写真の様に細長い、らせん状の形態を示していた。病因物質の顕微鏡像
今回、病院を受診した患者の一部には、重篤な食中毒症状がみられた。その患者に投与すべき薬剤として、適切なのはどれか。1つ選べ。
- ⑴ ロペラミド塩酸塩カプセルロペラミドなどの止瀉薬は病原体の排出を妨げ、細菌性腸炎を悪化させるおそれがあるため避けます。
- ⑵ 5 %ブドウ糖加酢酸リンゲル液脱水と電解質喪失を補正するため、細胞外液補充液である5%ブドウ糖加酢酸リンゲル液を投与します。
- ⑶ アトロピン硫酸塩注射液アトロピンは有機リン中毒などに用いる抗コリン薬で、細菌性食中毒の治療には適しません。
- ⑷ d-クロルフェニラミンマレイン酸塩注射液d-クロルフェニラミンは抗ヒスタミン薬で、アレルギー様食中毒などに用いますが本事例には適しません。
- ⑸ ブチルスコポラミン臭化物注射液ブチルスコポラミンは腸管運動を抑制する鎮痙薬で、病原体の排出を妨げるおそれがあるため適しません。
解説
正解は⑵です。カンピロバクター食中毒で重篤な症状がみられる場合、発熱・嘔吐・下痢による脱水と電解質の喪失を補正することが治療の基本となり、細胞外液補充液である5%ブドウ糖加酢酸リンゲル液などの輸液が用いられます。必要に応じてマクロライド系抗菌薬が使われます。ロペラミドなどの止瀉薬は、腸管内の病原体や毒素の排出を遅らせて症状を悪化させるおそれがあるため避けます。
出典:厚生労働省ホームページ(https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000198924.html)を加工して作成