この患者は、その後、精密検査の結果、悪性腫瘍と診断された。腫瘍が大きく手術が困難…
44 歳女性。鼻、口唇の肥大、下顎の突出を認め精査となった。身長170 cm、体重81 kg、靴のサイズ26.5 cm。75 g ブドウ糖負荷試験での成長ホルモンは25 ng/mL(正常域0.4 ng/mL 未満)、IGF-1(血中インスリン様成長因子-1)は1,050 ng/mL(正常域88~229 ng/mL)であった。MRI 検査で限局性腫瘤が認められたが、異所性病変は認めなかった。
この患者は、その後、精密検査の結果、悪性腫瘍と診断された。腫瘍が大きく手術が困難であるため、薬物治療を行う方針となった。なお、放射線治療は薬物治療の効果をみてから検討する予定である。この患者の治療に用いる薬物の候補として、最も適切なのはどれか。1つ選べ。
- ⑴ グルカゴングルカゴンは血糖を上げるホルモンで、成長ホルモンの過剰分泌を抑えることはできません。
- ⑵ インスリンインスリンは高血糖の治療薬で、先端巨大症の原因である成長ホルモン分泌を抑えません。
- ⑶ オクトレオチドオクトレオチドはソマトスタチン受容体に作用して成長ホルモン分泌を抑え、先端巨大症の治療に用いられます。
- ⑷ ソマトロピンソマトロピンは成長ホルモン製剤で、先端巨大症を悪化させます。
- ⑸ バソプレシンバソプレシンは抗利尿ホルモンで、中枢性尿崩症などに用いられます。
解説
正解は⑶です。鼻や口唇の肥大、下顎の突出などの特徴的な顔貌と手足の肥大に加え、ブドウ糖負荷で成長ホルモンが抑制されず IGF-1 が高値であることから、下垂体の成長ホルモン産生腫瘍による先端巨大症と考えられます。手術が困難な場合の薬物治療では、ソマトスタチン誘導体のオクトレオチドがソマトスタチン受容体を介して成長ホルモンの分泌を抑え、腫瘍の縮小も期待できます。
出典:厚生労働省ホームページ(https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000198924.html)を加工して作成