経過観察のため受診したところ、肺機能については改善を示しつつあるが、顔面や四肢の…
24 歳女性。身長156 cm、体重40 kg。以前より労作性の息切れを自覚していた。出産後に血圧低下、呼吸状態の悪化を来し、スクリーニングの結果、肺高血圧症と診断を受け、以下の処方で治療を開始した。(処方)フロセミド錠20 mg 1 回1 錠(1 日1 錠)エプレレノン錠50 mg 1 回1 錠(1 日1 錠)タダラフィル錠20 mg 1 回2 錠(1 日2 錠)1 日1 回 朝食後 7 日分ボセンタン錠62.5 mg 1 回2 錠(1 日4 錠)1 日2 回 朝夕食後 7 日分点滴静注 エポプロステノール静注用1.5 mg(1.5 mg/バイアル 3 本)4.5 mg生理食塩液300 mL流速3 mL/h で持続投与
経過観察のため受診したところ、肺機能については改善を示しつつあるが、顔面や四肢のむくみなど未だ改善が見られない症状を認めた。さらに、生化学検査のうち血清カリウム値が4.1 mEq/L から3.0 mEq/L に低下していたことから、薬剤師が医師から処方について相談された。以下のうち、最も適切な提案内容はどれか。1つ選べ。
- ⑴ トルバプタン錠の追加トルバプタンは電解質を失わずに水を排泄させるため、低カリウム血症を悪化させずにむくみを改善できます。
- ⑵ エポプロステノール静注用の増量エポプロステノールの増量は肺高血圧の治療強化であり、むくみや低カリウム血症への直接の対策ではありません。
- ⑶ フロセミド錠の増量フロセミドを増量するとカリウムの排泄がさらに増え、低カリウム血症が悪化します。
- ⑷ アスパラギン酸カリウム錠の追加カリウム製剤は低カリウム血症を補正しますが、改善しないむくみへの対策にはなりません。
- ⑸ リオシグアト錠の追加リオシグアトは可溶性グアニル酸シクラーゼ刺激薬で、PDE5阻害薬のタダラフィルとは併用禁忌です。
解説
正解は⑴です。この患者はむくみが改善せず、フロセミドの影響と考えられる低カリウム血症(3.0 mEq/L)も生じています。トルバプタンはバソプレシンV2受容体を遮断して水のみを排泄させる水利尿薬で、電解質の排泄を増やさないため、カリウムをさらに下げずに体液貯留を改善できます。フロセミドの増量は低カリウム血症を悪化させます。カリウム製剤はむくみを改善せず、エポプロステノールの増量やリオシグアトの追加は浮腫の改善を目的とした薬ではありません。
出典:厚生労働省ホームページ(https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000198923.html)を加工して作成