9歳の男児。注意欠如・多動症と診断され、アトモキセチンの内用液が処方された。母親…
9歳の男児。注意欠如・多動症と診断され、アトモキセチンの内用液が処方された。母親から、この薬がどのように効くのかと質問された。アトモキセチンの作用のしくみとして、正しいのはどれか。
- ⑴ シナプス後膜のアドレナリンα2A受容体を刺激し、前頭前野の神経の信号伝達を強める。α2A受容体を刺激するのはグアンファシンで、アトモキセチンとは別の作用点です。
- ⑵ GABAA受容体のベンゾジアゼピン結合部位に作用し、塩化物イオンの流入を増やして興奮を抑える。この作用はベンゾジアゼピン系薬のもので、注意欠如・多動症の治療薬の作用ではありません。
- ⑶ セロトニン2A受容体を遮断し、衝動性と攻撃性をしずめる。セロトニン2A受容体の遮断は非定型抗精神病薬などの作用で、アトモキセチンの主な作用点ではありません。
- ⑷ ノルアドレナリンの再取り込みを選択的に阻害し、前頭前野でのその濃度を高める。アトモキセチンは選択的ノルアドレナリン再取り込み阻害薬で、中枢刺激薬には分類されません。
- ⑸ ドパミン輸送体を強く阻害する中枢刺激薬で、メチルフェニデートと同様に流通が厳しく管理されている。中枢刺激薬として流通管理の対象となるのはメチルフェニデートなどで、アトモキセチンは非中枢刺激薬です。
解説
正解は⑷です。アトモキセチンはノルアドレナリンの再取り込みを担う輸送体を選択的に阻害し、前頭前野のシナプス間隙でノルアドレナリンとドパミンの濃度を高めます。中枢刺激薬ではないため依存の危険は小さく、流通管理の対象にはなっていません。メチルフェニデートは中枢刺激薬、グアンファシンはα2A受容体の作動薬です。効果が安定するまでには数週間かかることも説明しておきます。
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