この患者に認められる症状はどれか。2つ選べ。
30 歳女性。高校3 年生のときにきっかけもなく元気がなくなり、3 ケ月間学校を休んだことがあったが、特に治療を受けずに回復した。その後は順調であったが、1 ケ月前に急に元気がなくなり、会社を休んだりしていた。ここ数日は「偉大な発見をしたので、自分には特別な才能がある」と言ったり、誰彼構わず夜中に電話をするといった状態が持続するため、母親に連れられて来院した。母親によると2 週間前から母親と話していても、話の内容が次々と脱線し、話している内容がまとまらない、些細なことを契機に怒り出すなど、普段とは異なる行動がみられた。睡眠をほとんどとっていないが、本人は疲れを感じていない。親戚や友人への電話で家や車の購入計画などを話し、相手が反対すると激怒するようになった。血液生化学検査、脳画像検査、脳波検査、脳脊髄液検査で異常はない。飲酒・喫煙歴なし。違法薬物の使用歴もない。診察の結果、患者は双極性障害と診断された。
この患者に認められる症状はどれか。2つ選べ。
- ⑴ 観念奔逸話の内容が次々と脱線してまとまらないのは、躁状態でみられる観念奔逸です。
- ⑵ 誇大妄想「偉大な発見をした、特別な才能がある」という発言は誇大妄想にあたります。
- ⑶ 心気妄想心気妄想は重い病気にかかっていると思い込む、うつ病でみられる微小妄想です。
- ⑷ 罪業妄想罪業妄想は自分が罪深いと思い込む、うつ病でみられる微小妄想です。
- ⑸ 貧困妄想貧困妄想は経済的に破綻したと思い込む、うつ病でみられる微小妄想です。
解説
正解は⑴と⑵です。患者は以前に抑うつ状態を経験し、現在は睡眠をほとんどとらずに疲れを感じず、夜中に誰彼構わず電話をかけ、易怒性もみられる躁状態にあります。話の内容が次々と脱線してまとまらないのは、考えが次々に浮かんで目標から逸れていく観念奔逸です。「偉大な発見をしたので、自分には特別な才能がある」という発言は、自己を過大に評価する誇大妄想です。心気妄想、罪業妄想、貧困妄想は、うつ病でみられる微小妄想の代表であり、躁状態のこの患者にはみられません。
出典:厚生労働省ホームページ(https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000198929.html)を加工して作成