緩和ケアチームの薬剤師の対応として、適切なのはどれか。2つ選べ。
58 歳女性。乳がんによる骨転移性疼痛に対して、デノスマブ皮下注とモルヒネ硫酸塩水和物徐放錠にて治療中であった。腰痛の悪化により、モルヒネ硫酸塩水和物徐放錠が増量された。FDG-PET(注)を行ったところ、腰椎に集積像が確認された。増量後は、疼痛コントロールは良好であったが、日常生活に支障をきたすほどの眠気が増強してきたため来院し、患者希望により緩和ケアチームが関与することになった。来院時の検査値は以下のとおりである。(注) FDG-PET:Fluorodeoxyglucose-Positron emission tomography(フルオロデオキシグルコース陽電子放出断層撮影)(検査値)AST 15 IU/L、ALT 16 IU/L、BUN 35.0 mg/dL、血清クレアチニン1.6 mg/dL、eGFR 26.7 mL/min/1.73 m²
緩和ケアチームの薬剤師の対応として、適切なのはどれか。2つ選べ。
- ⑴ デノスマブ皮下注の投与中は、低カルシウム血症の発現に注意するよう、情報共有する。デノスマブは低カルシウム血症を起こすことがあり、腎機能障害のある患者では特に注意が必要なため、情報共有します。
- ⑵ デノスマブ皮下注からゾレドロン酸水和物注射液への変更を検討する。ゾレドロン酸は腎排泄型で腎障害を起こすことがあり、重度の腎機能低下がある患者への変更は適切ではありません。
- ⑶ モルヒネ硫酸塩水和物徐放錠の投与中は、QT 延長の副作用の発現に注意するよう、情報共有する。QT延長はメサドンで特に注意すべき副作用で、モルヒネの投与中に優先して注意すべき副作用ではありません。
- ⑷ モルヒネ硫酸塩水和物徐放錠からフェンタニルクエン酸塩テープへの変更を検討する。フェンタニルは肝代謝で活性代謝物がなく、腎機能低下時でも使いやすいため、眠気の原因となるモルヒネからの変更を検討します。
- ⑸ モルヒネ硫酸塩水和物徐放錠からロキソプロフェンナトリウム錠への変更を検討する。ロキソプロフェンは腎機能を悪化させるおそれがあり、鎮痛効果もオピオイドの代わりとしては不十分です。
解説
正解は⑴と⑷です。デノスマブは破骨細胞の形成を抑えて骨吸収を強力に抑制するため、低カルシウム血症を起こすことがあり、特に腎機能が低下した患者では注意が必要です。この患者はeGFR 26.7 mL/min/1.73 m²と腎機能が低下しており、モルヒネの活性代謝物(M6G)が蓄積して眠気が強くなっていると考えられます。そのため、腎機能の影響を受けにくいフェンタニル貼付剤への変更を検討します。ゾレドロン酸は腎排泄のため重度腎障害では避け、QT延長はメサドンで特に問題になります。
出典:厚生労働省ホームページ(https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000198928.html)を加工して作成