この患者の腰椎病変に関する記述として、正しいのはどれか。2つ選べ。
58 歳女性。乳がんによる骨転移性疼痛に対して、デノスマブ皮下注とモルヒネ硫酸塩水和物徐放錠にて治療中であった。腰痛の悪化により、モルヒネ硫酸塩水和物徐放錠が増量された。FDG-PET(注)を行ったところ、腰椎に集積像が確認された。増量後は、疼痛コントロールは良好であったが、日常生活に支障をきたすほどの眠気が増強してきたため来院し、患者希望により緩和ケアチームが関与することになった。来院時の検査値は以下のとおりである。(注) FDG-PET:Fluorodeoxyglucose-Positron emission tomography(フルオロデオキシグルコース陽電子放出断層撮影)(検査値)AST 15 IU/L、ALT 16 IU/L、BUN 35.0 mg/dL、血清クレアチニン1.6 mg/dL、eGFR 26.7 mL/min/1.73 m²
この患者の腰椎病変に関する記述として、正しいのはどれか。2つ選べ。
- ⑴ 病変は、乳がんの直接浸潤により生じたと考えられる。乳がんから腰椎へは離れているため、直接浸潤ではなく血流を介した血行性転移により生じたと考えられます。
- ⑵ 病変部では、ブドウ糖の取り込みが上昇している。FDG-PETで集積がみられるのは、がん細胞でブドウ糖の取り込みが上昇しているためです。
- ⑶ 脊髄圧迫が生じている可能性が高い。腰椎の転移巣で骨破壊が進むと、脊髄や神経根の圧迫が生じる可能性があり、腰痛の悪化もそれを示唆します。
- ⑷ 症状の緩和には、ビタミンD の摂取が有効である。ビタミンDはデノスマブによる低カルシウム血症の予防に用いるもので、骨転移の疼痛緩和に有効なわけではありません。
- ⑸ 高用量メトトレキサートを中心とした化学療法が奏功する。高用量メトトレキサートは悪性リンパ腫や骨肉腫などで用いられる治療で、乳がんの骨転移に奏功する標準治療ではありません。
解説
正解は⑵と⑶です。乳がんは骨に転移しやすいがんで、腰椎の病変は血行性の骨転移と考えられます。FDG-PETはブドウ糖類似体のFDGを用いる検査で、がん細胞はブドウ糖の取り込みが亢進しているため、病変部に集積像として描出されます。腰椎の転移巣で骨破壊が進むと、椎体の圧潰や腫瘍の進展により脊髄や神経根が圧迫されるおそれがあり、腰痛の悪化はその可能性を示します。ビタミンDは疼痛緩和を目的とした治療ではなく、高用量メトトレキサートは乳がん骨転移の標準治療ではありません。
出典:厚生労働省ホームページ(https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000198928.html)を加工して作成