この患者の病態に関する記述のうち、正しいのはどれか。2つ選べ。
67 歳女性。身長155 cm、体重43 kg。2 年前より心窩部痛を自覚し、外来を受診。CT 検査などで膵臓がん、肝転移(Stage Ⅳ)と診断された。一次治療として、フルオロウラシル+イリノテカン塩酸塩+オキサリプラチン+レボホリナート(FOLFIRINOX)療法を導入した。1 クール目Day 8 に発熱があり再来院した。処方1 を服用中であり、全身倦怠感が強く入院加療となった。担当医から追加処方(処方2 )の連絡を受けて、カンファレンスで今後の方針について協議することになった。(再来院時の患者背景)パフォーマンスステータス(PS)1 、腋窩温38.5 ℃、血圧120/80 mmHg(処方1 )酸化マグネシウム錠250 mg 1 回1 錠(1 日3 錠)1 日3 回 朝昼夕食後 14 日分(処方2 )レボフロキサシン錠500 mg 1 回1 錠(1 日1 錠)1 日1 回 朝食後 7 日分アセトアミノフェン錠200 mg 1 回2 錠発熱時 10 回分(20 錠)(検査値)項目 Day 1 Day 8白血球(/μL) 7,800 1,400好中球(/μL) 5,800 300赤血球(×10⁴/μL) 400 380ヘモグロビン(g/dL) 12.3 11.9血小板(×10⁴/μL) 22 20AST/ALT(IU/L) 20/21 30/29eGFR(mL/min/1.73 m²) 89 70
この患者の病態に関する記述のうち、正しいのはどれか。2つ選べ。
- ⑴ 末梢における好中球の破壊が亢進している。抗がん薬による骨髄抑制で好中球の産生が低下したもので、末梢での破壊亢進によるものではありません。
- ⑵ CRP が上昇している可能性が高い。発熱を伴う好中球減少で細菌感染が疑われ、炎症マーカーのCRPが上昇している可能性が高いです。
- ⑶ 口内炎や咽頭痛を発症しやすい。好中球減少により口腔・咽頭粘膜の感染防御が弱まり、口内炎や咽頭痛を起こしやすくなります。
- ⑷ 高度な貧血が認められる。ヘモグロビンは12.3から11.9 g/dLとわずかな低下で、高度な貧血は認められません。
- ⑸ 薬剤に対するアレルギーにより発症したと考えられる。化学療法後の時期に一致した骨髄抑制による好中球減少で、薬剤アレルギーによるものとは考えにくいです。
解説
正解は⑵と⑶です。この患者の好中球減少は、抗がん薬による骨髄抑制で好中球の産生が低下したことによるもので、末梢での破壊亢進ではありません。発熱を伴っており細菌感染が疑われるため、炎症マーカーのCRPは上昇している可能性が高いと考えられます。好中球が減ると口腔や咽頭の粘膜で感染が起こりやすく、口内炎や咽頭痛を発症しやすくなります。ヘモグロビンは11.9 g/dLと軽度の低下にとどまり、薬剤アレルギーによる発症とは考えにくいです。
出典:厚生労働省ホームページ(https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000198926.html)を加工して作成