しばらくして白内障の手術(眼内レンズ挿入術)のため入院となり、処方2 が中止とな…
70 歳男性。糖尿病と心不全で治療中。3 年前に眼圧の上昇が指摘され、原発開放隅角緑内障との診断を受け、処方1 による治療を開始した。なお、同時に白内障の診断も受けている。点眼液による治療開始後、目の周囲が黒ずむなど眼瞼色素沈着が観察されるようになったため、処方1 から処方2 へ変更になった。その後、眼圧低下が不十分と診断され、現在は処方2 に加えて処方3 が追加となっている。(臨床検査値)HbA1c 8.0%、BUN 20 mg/dL、血清クレアチニン1.2 mg/dL、尿中ケトン体(+)、血清浸透圧295 mOsm/L(処方1 )ラタノプロスト点眼液0.005%(2.5 mL/本) 1 本1 日1 回 朝 両眼に点眼(処方2 )オミデネパグ イソプロピル点眼液0.002%(2.5 mL/本) 1 本1 日1 回 朝 両眼に点眼(処方3 )ブリンゾラミド懸濁性点眼液1.0%(5 mL/本) 1 本1 日2 回 朝夕 両眼に点眼
しばらくして白内障の手術(眼内レンズ挿入術)のため入院となり、処方2 が中止となった。処方2 に替えて、新たに異なる作用機序の薬物を追加することになった。追加する薬物の作用機序として、適切なのはどれか。2つ選べ。
- ⑴ アドレナリン α2 受容体を刺激して、毛様体における房水産生を抑制するとともに、ぶどう膜強膜流出経路からの房水流出を促進する。ブリモニジンの作用で、房水産生抑制とぶどう膜強膜流出促進の両方により眼圧を下げ、既存薬と機序が異なります。
- ⑵ アドレナリン β1 受容体を遮断して、毛様体における房水産生を抑制する。β遮断薬の点眼は全身に吸収されて心機能を抑制するおそれがあり、心不全の患者には避けるべきです。
- ⑶ 炭酸脱水素酵素を阻害して、毛様体における房水産生を抑制する。炭酸脱水酵素阻害はすでに使用中のブリンゾラミドと同じ機序で、追加しても重複になります。
- ⑷ Rho キナーゼを阻害して、線維柱帯-シュレム管経路からの房水流出を促進する。リパスジルの作用で、線維柱帯-シュレム管経路の房水流出を促進し、既存薬と異なる機序です。
- ⑸ プロスタノイドEP2 受容体を刺激して、線維柱帯-シュレム管経路及びぶどう膜強膜流出経路からの房水流出を促進する。EP2受容体刺激は中止したオミデネパグと同じ機序で、眼内レンズ挿入眼では使用できません。
解説
正解は⑴と⑷です。オミデネパグは眼内レンズ挿入眼で黄斑浮腫を起こすおそれがあるため禁忌となり、中止されました。代わりに追加するのは、すでに使用中のブリンゾラミド(炭酸脱水酵素阻害)とも、オミデネパグ(EP2受容体刺激)とも異なる機序の薬です。この患者は心不全があるため、β遮断薬の点眼は全身吸収による心機能抑制のおそれがあり避けます。したがって、α2受容体作動薬のブリモニジンや、Rhoキナーゼ阻害薬のリパスジルが適しています。
出典:厚生労働省ホームページ(https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000198926.html)を加工して作成