クローン病の症状寛解を目的とした薬物の作用機序のうち、今回までに処方されてきたの…
25 歳女性。身長153 cm、体重40 kg。19 歳のときにクローン病と診断され、メサラジンとアザチオプリンによる併用療法を実施していたが、効果不十分のため1 年前よりアダリムマブ(遺伝子組換え)皮下注が追加となった。2 週間前より、発熱、腹痛及び下痢があり検査目的で入院となった。内視鏡検査の結果、症状が悪化していることが分かり、アダリムマブが以下の処方1 に変更されるとともに、処方2 が追加された。(処方1 )ウステキヌマブ(遺伝子組換え)130 mg 1 日1 回2 バイアル生理食塩液250 mL 点滴静注 1 回分(処方2 )エレンタール配合内用剤※80 g1 回1 袋(1 日3 袋)朝昼夕 7 日分※成分栄養剤
クローン病の症状寛解を目的とした薬物の作用機序のうち、今回までに処方されてきたのとは異なるのはどれか。2つ選べ。
- ⑴ リンパ球表面に発現する α4 β7 インテグリンに結合することで、リンパ球の腸管粘膜への浸潤を阻害する。α4β7インテグリンに結合するのはベドリズマブの作用機序で、これまでの処方薬には含まれていません。
- ⑵ 可溶性及び膜結合型TNF-α に特異的に結合することで、TNF-α の受容体への結合を阻害する。可溶性および膜結合型TNF-αに結合するのはアダリムマブの作用機序で、すでに処方されています。
- ⑶ IL-12 及びIL-23 のp40 サブユニットに結合することで、ヘルパーT 細胞の活性化を抑制する。IL-12/IL-23のp40サブユニットに結合するのは、今回処方されたウステキヌマブの作用機序です。
- ⑷ 生体内でチオイノシン酸となり、イノシン酸と拮抗してプリンヌクレオチドの生合成を阻害する。チオイノシン酸となりプリン合成を阻害するのは、併用されていたアザチオプリンの作用機序です。
- ⑸ 細胞内でグルココルチコイド受容体に結合し、核内移行して遺伝子転写を調節することで、抗炎症作用を示す。グルココルチコイド受容体を介する抗炎症作用は副腎皮質ステロイドの作用で、これまでの処方とは異なります。
解説
正解は⑴と⑸です。この患者にはこれまで、アザチオプリン(生体内でチオイノシン酸となりプリン合成を阻害)、アダリムマブ(TNF-αに結合して作用を阻害)、ウステキヌマブ(IL-12/23のp40サブユニットに結合)が投与されています。これらと異なる作用機序は、α4β7インテグリンに結合してリンパ球の腸管への浸潤を抑えるベドリズマブと、グルココルチコイド受容体を介して抗炎症作用を示す副腎皮質ステロイドです。
出典:厚生労働省ホームページ(https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000198926.html)を加工して作成