ヘリコバクター・ピロリの除菌療法において、ボノプラザン以外にラベプラゾールも用い…
48 歳男性。2 ケ月前から食欲の低下を感じ、消化器内科で精査したところ、ヘリコバクター・ピロリ陽性と診断され、一次除菌を行うこととなった。(処方)ボノサップパック400(注) 1 シート1 日2 回 朝夕食後 7 日分注: 1 回分として、ボノプラザン錠20 mg 1 錠、アモキシシリンカプセル250 mg 3 カプセル、クラリスロマイシン錠200 mg 1 錠を服用
ヘリコバクター・ピロリの除菌療法において、ボノプラザン以外にラベプラゾールも用いられてきた。ボノプラザン又はラベプラゾールに関する記述として、正しいのはどれか。2つ選べ。
- ⑴ ボノプラザンは、壁細胞におけるH⁺,K⁺-ATPase の発現を抑制する。ボノプラザンはH⁺,K⁺-ATPaseの発現を抑えるのではなく、K⁺と競合して酵素の働きを可逆的に阻害します。
- ⑵ ボノプラザンは、胃酸による活性化を必要としない。ボノプラザンはPPIと異なり、胃酸による活性化を必要とせずにそのままの形でプロトンポンプを阻害します。
- ⑶ ボノプラザンは、弱酸性であり、壁細胞内に分子形として集積する。ボノプラザンは強い塩基性の化合物で、酸性環境の分泌細管ではプロトン化されたイオン形として集積します。
- ⑷ ラベプラゾールは、K⁺ と競合して、壁細胞からのH⁺ 分泌を阻害する。K⁺と競合してH⁺分泌を阻害するのはボノプラザン(P-CAB)の特徴です。ラベプラゾールは共有結合による不可逆的阻害です。
- ⑸ ラベプラゾールは、H⁺,K⁺-ATPase とジスルフィド結合を形成する。ラベプラゾールは酸で活性化された後、H⁺,K⁺-ATPaseのSH基とジスルフィド結合を形成して酵素を阻害します。
解説
正解は⑵と⑸です。ボノプラザンはカリウムイオン競合型アシッドブロッカー(P-CAB)で、H⁺,K⁺-ATPaseに対してK⁺と競合的に結合し、可逆的に酵素を阻害します。酸による活性化を必要としないため、作用発現が速いのが特徴です。また、強い塩基性(pKa約9.3)のため、酸性の分泌細管でイオン形となって集積します。ラベプラゾールはプロトンポンプ阻害薬(PPI)で、酸により活性体のスルフェンアミドに変換され、酵素のシステイン残基とジスルフィド結合を形成して不可逆的に阻害します。
出典:厚生労働省ホームページ(https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000198928.html)を加工して作成