この検査結果から、薬剤師が学校に報告する内容として適切なのはどれか。2つ選べ。
ある市立中学校で、線状降水帯による大雨のため床下浸水の被害が発生し、休校となった。この学校では、市から供給される水道水のみを水源とし、地下の受水槽に一旦貯めたのちに、高置水槽に揚水して給水栓に飲料水を供給している。学校を再開するにあたり、臨時検査として給水栓の飲料水の水質を検査することになり、学校薬剤師が以下の項目について検査を行った。検査項目: 一般細菌、大腸菌、塩化物イオン、全有機炭素(TOC)の量、pH 値、味、臭気、色度、濁度及び遊離残留塩素下表は学校薬剤師が採水時に測定した項目及び検査機関で測定した項目の検査結果である。直近の定期検査は災害の2 ケ月前に実施したものである。検査結果検査項目直近の定期検査 臨時検査一般細菌 不検出 2,800 個/mL大腸菌 不検出 不検出塩化物イオン 12.4 mg/L 31.0 mg/L全有機炭素(TOC) 0.52 mg/L 0.68 mg/LpH 値 7.2 6.5味 異常なし 異常なし臭気 異常なし 異常なし色度 1 度未満 1 度未満濁度 0.1 度未満 0.6 度遊離残留塩素 0.3 mg/L 0.05 mg/L
この検査結果から、薬剤師が学校に報告する内容として適切なのはどれか。2つ選べ。
- ⑴ 臨時検査において一般細菌が検出されていることから、地下の受水槽に汚染された雨水などが流入したおそれがある。一般細菌が基準を大きく超えており、浸水で地下の受水槽に汚染された雨水などが流入したおそれがあります。
- ⑵ 塩化物イオン濃度と大腸菌の検査結果から、地下の受水槽がし尿で汚染されたおそれがある。大腸菌が検出されていないため、塩化物イオンの上昇だけでし尿汚染と判断することはできません。
- ⑶ 定期検査及び臨時検査のいずれにおいてもTOC が検出されていることから、災害の前から高置水槽で藻類による汚染が発生していたと考えられる。TOCは両検査とも基準(3 mg/L以下)を十分に下回っており、藻類による汚染を示すものではありません。
- ⑷ 定期検査の結果と比較して、臨時検査ではpH 値が低下しているため、遊離残留塩素の消毒効果が減弱したと考えられる。pHが下がると殺菌力の強い次亜塩素酸の割合が増えるため、pH低下で消毒効果が減弱するとはいえません。
- ⑸ 臨時検査において遊離残留塩素が学校環境衛生基準を満たしていないため、飲料に適さない。給水栓の遊離残留塩素は0.1 mg/L以上が必要で、0.05 mg/Lでは基準を満たさず飲用に適しません。
この問題は問題の図(写真・図・表など)を見て答えます。図はこちらに転載していないため、下の出典のページから公式のPDFをご覧ください。解説だけでも読み取り方が分かるように書いています。
解説
正解は⑴と⑸です。臨時検査では一般細菌が2,800個/mLと基準(100個/mL以下)を大きく超え、遊離残留塩素も0.05 mg/Lと給水栓での基準(0.1 mg/L以上)を満たしていません。浸水により地下の受水槽へ雨水などが流入し、消毒用の塩素が消費された可能性があり、飲用には適さないと判断できます。大腸菌は検出されておらず、し尿汚染を示す根拠は乏しいです。またTOCは基準内で、pHの低下は次亜塩素酸の割合を増やし、消毒効果を弱める方向には働かないと考えられます。
出典:厚生労働省ホームページ(https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000198926.html)を加工して作成