この患者に関する記述のうち、正しいのはどれか。2つ選べ。
37 歳女性。アレルギー疾患の既往歴なし。顔面に紅斑が出現したため、近医を受診し、全身性エリテマトーデス(SLE)と診断された。ステロイド療法が施行され、病状は落ち着いた。副腎皮質ステロイド性薬の漸減中に、突然、上機嫌になって多弁となったり、急に無表情になったり、「スマートフォンの使い方が分からなくなった。」と困惑して涙ぐんだりする症状が目立つようになった。血液検査の結果は以下のとおりである。(検査値)赤血球400 × 10⁴/μL、白血球5,120/μL、血小板20.8 × 10⁴/μL、血清クレアチニン1.84 mg/dL、eGFR 32.8 mL/min/1.73 m²、空腹時血糖112 mg/dL、HbA1c 6.5%、抗核抗体(+)、尿タンパク(2+)、尿潜血(+)
この患者に関する記述のうち、正しいのはどれか。2つ選べ。
- ⑴ SLE はⅠ型アレルギーによって発症した。SLEは免疫複合体の沈着によるⅢ型アレルギーを主体とする疾患で、Ⅰ型アレルギーによるものではありません。
- ⑵ 顔面の紅斑は鼻梁から頬にかけて一側性である。SLEの顔面紅斑は鼻梁から両頬にかけて左右対称に広がる蝶形紅斑で、一側性ではありません。
- ⑶ 副腎皮質ステロイド性薬の漸減中の症状から中枢神経ループスが疑われる。多幸や感情の急変、認知機能の低下などの精神神経症状から、中枢神経ループスが疑われます。
- ⑷ 血液検査から汎血球減少症が疑われる。赤血球、白血球、血小板はいずれも基準範囲内であり、汎血球減少症は疑われません。
- ⑸ 血液検査からループス腎炎が疑われる。血清クレアチニン上昇、eGFR低下、尿タンパクと尿潜血の陽性から、ループス腎炎が疑われます。
解説
正解は⑶と⑸です。SLEは抗核抗体などの自己抗体と免疫複合体が組織に沈着するⅢ型アレルギーを主体とする自己免疫疾患です。本症例の多幸、感情の急変、認知機能の低下などの精神神経症状は中枢神経ループス(神経精神SLE)を疑わせ、ステロイドの副作用による精神症状との鑑別が必要です。また血清クレアチニン上昇、eGFR低下、尿タンパク・尿潜血陽性はループス腎炎を示唆します。顔面の紅斑は両側性の蝶形紅斑で、赤血球・白血球・血小板は基準範囲内です。
出典:厚生労働省ホームページ(https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000198926.html)を加工して作成