この患者の血漿アンモニア濃度が基準値(12~66 μg/dL)より高い値であるこ…
2 歳女児。体重10 kg。1 日数回の全身強直間代性痙れんを発現し、約3 ヶ月前にミオクローヌスてんかんと診断され、バルプロ酸Na シロップの投与が開始された。痙れん発作の頻度は減少したが、最近、呼びかけに応答しないなどの意識障害が頻回に見られるようになったため入院加療となった。(入院時の検査値等)総ビリルビン1.0 mg/dL、血清アルブミン3.2 g/dL、AST 110 IU/L、ALT 92 IU/L、γ-GTP 24 IU/L、血中アンモニア180 μg/dL、バルプロ酸の血中トラフ濃度60 μg/mL
この患者の血漿アンモニア濃度が基準値(12~66 μg/dL)より高い値であることの原因として、最も可能性の高いのはどれか。1つ選べ。
- ⑴ ミオクロニー発作にともなう筋障害発作による筋障害で一時的にアンモニアが増えることはありますが、本症例の主因とは考えにくいです。
- ⑵ ミオクロニー発作にともなう低酸素血症ミオクロニー発作に伴う低酸素血症は、持続する高アンモニア血症の主な原因ではありません。
- ⑶ ミオクロニー発作にともなう腎血流の減少腎血流の減少はアンモニア上昇の主因ではなく、本症例の経過とも合いません。
- ⑷ バルプロ酸による尿素サイクルの阻害バルプロ酸はカルニチン減少などを介して尿素サイクルを阻害し、アンモニアを蓄積させます。
- ⑸ バルプロ酸による腸内のウレアーゼの阻害ウレアーゼを阻害するとアンモニア産生はむしろ減るため、高アンモニア血症の説明になりません。
解説
正解は⑷です。バルプロ酸は代謝物がカルニチンと結合して排泄されることでカルニチンを減らし、さらにカルバモイルリン酸合成酵素Ⅰの活性化に必要なN-アセチルグルタミン酸の生成を妨げることで、尿素サイクルを阻害します。その結果アンモニアが尿素に変換されずに蓄積し、高アンモニア血症による意識障害を起こします。血中濃度が治療域でも起こることがあります。ミオクロニー発作に伴う筋障害や低酸素、腎血流の減少は主な原因ではなく、バルプロ酸に腸内ウレアーゼの阻害作用もない点で区別できます。
出典:厚生労働省ホームページ(https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000198925.html)を加工して作成