入院後、高アンモニア血症に対してラクツロースシロップの投与が開始されたが、3 日…
2 歳女児。体重10 kg。1 日数回の全身強直間代性痙れんを発現し、約3 ヶ月前にミオクローヌスてんかんと診断され、バルプロ酸Na シロップの投与が開始された。痙れん発作の頻度は減少したが、最近、呼びかけに応答しないなどの意識障害が頻回に見られるようになったため入院加療となった。(入院時の検査値等)総ビリルビン1.0 mg/dL、血清アルブミン3.2 g/dL、AST 110 IU/L、ALT 92 IU/L、γ-GTP 24 IU/L、血中アンモニア180 μg/dL、バルプロ酸の血中トラフ濃度60 μg/mL
入院後、高アンモニア血症に対してラクツロースシロップの投与が開始されたが、3 日後、食欲の低下、意識レベルの低下が悪化しつつあると小児科担当の薬剤師が主治医に報告した。そこで、血液検査を実施したところ、以下のとおりであった。総ビリルビン1.2 mg/dL、血清アルブミン3.1 g/dL、AST 193 IU/L、ALT 132 IU/L、γ-GTP 61 IU/L、血中アンモニア243 μg/dL、バルプロ酸の血中トラフ濃度96 μg/mL担当薬剤師によるこの患児のアセスメントとして適切なのはどれか。2つ選べ。
- ⑴ 意識レベルの低下は、血中アンモニアの上昇による。血中アンモニアが243 μg/dLとさらに上昇しており、意識レベルの低下はこれによると考えられます。
- ⑵ 腸内細菌によるアンモニア消費が低下している。ラクツロースは腸内を酸性にしてアンモニアの産生と吸収を抑えるもので、消費低下という評価は根拠がありません。
- ⑶ 3 日前と比較して、肝機能は改善している。AST、ALT、γ-GTPはいずれも3日前より上昇しており、肝機能は悪化しています。
- ⑷ バルプロ酸Na シロップ剤の用量が不足している。バルプロ酸の血中濃度は96 μg/mLと有効域の上限付近で、用量不足ではありません。
- ⑸ カルニチンが欠乏している。バルプロ酸はカルニチンを排泄させるため欠乏が起こり、高アンモニア血症を悪化させていると考えられます。
解説
正解は⑴と⑸です。3日後の血中アンモニアは243 μg/dLとさらに上昇しており、意識レベルの低下は高アンモニア血症による脳症と考えられます。バルプロ酸はカルニチンの排泄を促すため、長期投与中の小児ではカルニチン欠乏が起こりやすく、これが尿素サイクルの障害と高アンモニア血症を悪化させます。ASTやALT、γ-GTPは3日前より上昇しており、肝機能は悪化しています。バルプロ酸の血中濃度は96 μg/mLと有効域の上限に近く、用量不足ではありません。ラクツロースは腸内細菌によるアンモニア産生を抑える薬です。
出典:厚生労働省ホームページ(https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000198925.html)を加工して作成