今回、予定されていた検査のために入院し、精査した結果、感染の心配が少なくなったた…
30 歳男性。身長165 cm、体重55 kg。急性骨髄性白血病のため6 ヶ月前に父親をドナーとして同種造血幹細胞移植を受け、術後1 ヶ月で退院した。慢性移植片対宿主病(GVHD)のコントロール目的に以下の薬剤を継続服用している。(処方1 )プレドニゾロン錠5 mg 朝4 錠、昼2 錠(1 日6 錠)1 日2 回 朝昼食後 7 日分(処方2 )タクロリムスカプセル1 mg 1 回2 カプセル(1 日4 カプセル)1 日2 回 朝夕食後 7 日分(処方3 )ボリコナゾール錠50 mg 1 回3 錠(1 日6 錠)1 日2 回 朝夕食後2 時間 7 日分
今回、予定されていた検査のために入院し、精査した結果、感染の心配が少なくなったためボリコナゾール錠を中止すると、医師から病棟担当薬剤師に連絡があった。薬剤師が医師へ提案する内容として最も適切なのはどれか。1つ選べ。
- ⑴ プレドニゾロンの用量を減量する。ボリコナゾール中止でプレドニゾロンの血中濃度はむしろ下がる方向で、減量する根拠はありません。
- ⑵ プレドニゾロンの血中濃度を頻回に測定し、投与量を調節する。プレドニゾロンは血中濃度を測定して投与量を調節するTDMの対象薬ではありません。
- ⑶ プレドニゾロン錠5 mg 1 日6 錠からヒドロコルチゾン錠10 mg 1 日3 錠に変更する。ヒドロコルチゾン30 mgはプレドニゾロン30 mgより力価がかなり弱く、変更する理由もありません。
- ⑷ タクロリムスの用量を1 日2 カプセルに減量する。ボリコナゾール中止でタクロリムスの血中濃度は低下するため、減量すると効果不足になります。
- ⑸ タクロリムスの血中濃度を頻回に測定し、投与量を調節する。CYP3A4阻害の解除でタクロリムスの血中濃度が低下するため、頻回に測定して投与量を調節します。
解説
正解は⑸です。ボリコナゾールはCYP3A4を強く阻害するため、併用中のタクロリムスは代謝が抑えられて血中濃度が高い状態で投与量が決められています。ボリコナゾールを中止するとCYP3A4の阻害が解除され、タクロリムスの血中濃度が大きく低下してGVHDが悪化するおそれがあります。そのため中止後はタクロリムスの血中濃度(トラフ値)を頻回に測定し、必要に応じて増量するよう提案します。減量は逆効果で、プレドニゾロンは血中濃度を測って調節する薬ではない点も押さえておきます。
出典:厚生労働省ホームページ(https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000198925.html)を加工して作成