この患者の興奮状態を抑えるために使用される適切な薬剤はどれか。1つ選べ。
20 歳男性。路上で意味不明なことを叫びながら暴れており、近隣住民が警察に通報した。警察官到着時、ろれつが回らず、痙れんを起こしたため救急要請した。救急隊到着時、頻脈と発汗を認め、興奮状態であった。救急病院に搬送され、この患者の尿を分析したところ覚醒剤及びその代謝物が検出された。(来院時の状態)血圧149/90 mmHg、心拍170 拍/分、呼吸数60 回/分、体温38.8 ℃、散瞳(左右6.0 mm)で対光反射は正常。発汗が著明、痙れんは消失、振戦あり。四肢の静脈に多数の注射痕あり。
この患者の興奮状態を抑えるために使用される適切な薬剤はどれか。1つ選べ。
- ⑴ プロクロルペラジンメシル酸塩注プロクロルペラジンは制吐などに用いるフェノチアジン系薬で、痙れん閾値を下げるおそれがあり適しません。
- ⑵ ジアゼパム注ジアゼパムはGABAA受容体の働きを強めて興奮と痙れんを抑えるため、覚醒剤中毒の鎮静に用います。
- ⑶ フェニトインナトリウム注フェニトインは抗てんかん薬で、覚醒剤中毒による興奮状態を抑える第一選択ではありません。
- ⑷ ロクロニウム臭化物注ロクロニウムは筋弛緩薬で鎮静作用はなく、人工呼吸管理なしでは使用できません。
- ⑸ フルマゼニル注フルマゼニルはベンゾジアゼピン受容体拮抗薬で、興奮を抑える作用はありません。
解説
正解は⑵です。覚醒剤中毒による興奮状態や痙れん、頻脈、高体温に対しては、まずベンゾジアゼピン系薬のジアゼパムを静注して鎮静を図ります。ジアゼパムはGABAA受容体の働きを強めて中枢の過剰な興奮を抑え、痙れんの再発予防にも役立ちます。プロクロルペラジンなどのフェノチアジン系薬は痙れん閾値を下げたり体温調節を乱したりするおそれがあります。フェニトインは覚醒剤による痙れんには効果が乏しく、ロクロニウムは筋弛緩薬で鎮静作用はなく、フルマゼニルはベンゾジアゼピンの拮抗薬です。
出典:厚生労働省ホームページ(https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000198925.html)を加工して作成