主治医より、イソニアジド錠、リファンピシンカプセル、エタンブトール錠、ピラジナミ…
70 歳男性。体重65 kg。ループス腎炎と脳梗塞に対して、それぞれタクロリムスカプセルとワルファリン錠を服用していた。2 週間前から微熱、咳、痰、寝汗などが続き、昨日、痰に血が混じっていたため、不安を感じて病院を受診した。胸部CT 検査で両側に空洞化を伴う多発性浸潤陰影を認め、喀痰の塗抹検査で病原体が検出されたため、入院し、直接服薬確認療法(DOTS)が行われることとなった。(入院時の検査値)AST 26 IU/L、ALT 27 IU/L、血清クレアチニン1.8 mg/dL、血清アルブミン3.6 g/dL、総ビリルビン0.7 mg/dL
主治医より、イソニアジド錠、リファンピシンカプセル、エタンブトール錠、ピラジナミド錠の4 剤でDOTS を開始することが薬剤師に伝えられた。薬剤の服用にあたり、薬剤師が主治医に伝えるべき内容として、正しいのはどれか。2つ選べ。
- ⑴ 肝機能障害があるため、イソニアジドの使用を避けるべきである。入院時のASTとALTは正常範囲で肝機能障害はないため、イソニアジドを避ける理由はありません。
- ⑵ ワルファリンの作用が減弱することがある。リファンピシンのCYP誘導作用によりワルファリンの代謝が促進され、作用が減弱することがあります。
- ⑶ 視神経障害が現われることがあるため、定期的に視力等を確認する必要がある。エタンブトールは視神経障害を起こすことがあり、定期的な視力や色覚の確認が必要です。
- ⑷ 腎機能障害があるため、エタンブトールを他剤に変更すべきである。エタンブトールは腎機能に応じて減量や投与間隔の延長で対応でき、必ずしも変更は不要です。
- ⑸ タクロリムスの血中濃度が上昇することがある。リファンピシンはCYP3A4を誘導するため、タクロリムスの血中濃度は低下します。
解説
正解は⑵と⑶です。リファンピシンは肝臓のCYP2C9やCYP3A4などを強く誘導するため、ワルファリンの代謝を促進して作用を減弱させることがあり、PT-INRを確認して用量調節を検討する必要があります。エタンブトールは視神経障害(視力低下や色覚異常)を起こすことがあるため、投与前と投与中に定期的な視力検査が必要です。肝機能は正常なのでイソニアジドを避ける理由はなく、エタンブトールは腎機能に応じて減量や投与間隔の延長で対応します。リファンピシンはタクロリムスの血中濃度を低下させます。
出典:厚生労働省ホームページ(https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000198925.html)を加工して作成