この患者にタクロリムスを経口投与し、24 時間採血を行った際の血中濃度時間曲線下…
27 歳男性。体重50 kg。父をドナーとする生体腎移植治療が予定されている。7 日後の移植術を控え、術後に用いるタクロリムスの投与設計を薬剤師が依頼された。
この患者にタクロリムスを経口投与し、24 時間採血を行った際の血中濃度時間曲線下面積(AUC0-∞)は120 μg・h/L、一次モーメント曲線下面積(AUMC0-∞)は1,320 μg・h²/L であった。また、タクロリムス0.5 mg を急速静注した直後の血中濃度は10 ng/mL であった。この患者にタクロリムスを1 日1 回経口投与し、定常状態における平均血中濃度を10 ng/mL としたい。適切な投与量(mg)に最も近い値はどれか。1つ選べ。ただし、タクロリムスの吸収速度定数を1.0 h⁻¹ とし、バイオアベイラビリティを0.2 とする。また、タクロリムスの体内動態は線形1-コンパートメントモデルに従うものとし、反復投与によってタクロリムスの体内動態は変化しないものとする。
- ⑴ 1.01.0 mg ではバイオアベイラビリティやクリアランスを考慮した必要量に大きく足りません。
- ⑵ 1.21.2 mg はバイオアベイラビリティ0.2 で割り忘れた値です。
- ⑶ 3.03.0 mg は計算途中で値を取り違えた値で、平均血中濃度は約5 ng/mL にとどまります。
- ⑷ 5.55.5 mg は平均滞留時間11時間をそのまま用いるなど、吸収時間を差し引かずに計算した値に近いです。
- ⑸ 6.0CL=5 L/h、F=0.2 より、D=10×5×24÷0.2=6,000 μg=6.0 mg となります。
解説
正解は⑸です。経口投与時の平均滞留時間は AUMC/AUC=1,320/120=11 時間で、平均吸収時間1/ka=1 時間を引くと体内での MRT は10 時間、消失速度定数 k は0.1 h⁻¹ です。静注データから分布容積は0.5 mg÷10 ng/mL=50 L、全身クリアランスは50×0.1=5 L/h となります。平均血中濃度10 ng/mL を得る1日量は D=10 μg/L×5 L/h×24 h÷0.2=6,000 μg=6.0 mg です。
出典:厚生労働省ホームページ(https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000198924.html)を加工して作成