この疾患の病態と治療に関する記述のうち、正しいのはどれか。2つ選べ。
22 歳女性。近医を受診し、以下の経過を訴えたところ、精神科を紹介された。「仕事が多忙で残業が続いていたある日、通勤時に電車内で突然動悸が始まり、呼吸困難となり、今にも心臓が止まりそうになり、やっとの思いで次の駅で降りて救急車で病院へ運ばれたが、病院に着く頃には症状はだいぶ落ちついていた。念のため、診察を受けたが身体的には異常はなく、心電図や血液検査でも異常は認められなかった。1 週間後、外出した時に、乗っていた電車の中で同じような動悸が始まり、一緒にいた友人に手を握ってもらって何とか我慢して家までたどり着いた。それ以来、発作が怖くて電車に乗れなくなった。電車通勤はやめて親に送り迎えをしてもらい、どうにか仕事には行くことができている。」
この疾患の病態と治療に関する記述のうち、正しいのはどれか。2つ選べ。
- ⑴ 薬物治療は原則として一生涯続ける。薬物治療は症状が改善した後も一定期間続けますが、原則として一生涯続けるものではなく、徐々に減量・中止を目指します。
- ⑵ 発作と判断するには、それが起こる状況の特定が必要である。パニック発作は予期しない状況で突然起こるのが特徴で、発作の判断に起こる状況の特定は必要ありません。
- ⑶ 予期不安を合併する場合が多い。パニック症では、また発作が起こるのではないかという予期不安を合併することが多いです。
- ⑷ 恐怖の対象となっている場所や状況に対する曝露療法が有効である。恐怖の対象となる場所や状況に段階的に曝露して慣らす曝露療法が有効です。
- ⑸ 呼吸困難に対して、酸素の投与が必要である。パニック発作時の呼吸困難は過換気によるもので、低酸素ではないため酸素投与は必要ありません。
この問題は問題の図(写真・図・表など)を見て答えます。図はこちらに転載していないため、下の出典のページから公式のPDFをご覧ください。解説だけでも読み取り方が分かるように書いています。
解説
正解は⑶と⑷です。突然の動悸や呼吸困難などのパニック発作を繰り返し、また発作が起きるのではという不安から電車を避けるようになった経過から、広場恐怖を伴うパニック症と考えられます。パニック症では次の発作を恐れる予期不安を合併することが多く、治療には SSRI などの薬物療法に加え、恐怖の対象となる場所や状況に段階的に慣らす曝露療法などの認知行動療法が有効です。
出典:厚生労働省ホームページ(https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000198924.html)を加工して作成