検査の対象となったHER2 タンパク質及び BRCA 遺伝子に関する記述のうち、…
46 歳女性。職場の検診で乳がんを疑われ、精密検査を受けるため大学病院を受診した。病変部の組織診(針生検)を行い、エストロゲン受容体(ER)、プロゲステロン受容体(PgR)及びHER2 (ヒト上皮増殖因子受容体2 型)のタンパク質発現を病理学的検査により調べた。また、リンパ節や全身への転移の有無をCT 検査にて確認し、StageⅡB の乳がんと確定診断された。その結果に基づき、術前化学療法としてEC 療法※、次にパクリタキセル療法を実施した。その後、乳房温存術を施行、内分泌療法は行わず経過観察としていたが、翌年再発が判明したため、遺伝学的検査(BRCA 遺伝子変異)をし、その結果、オラパリブを投与することとなった。※ EC 療法:エピルビシン + シクロホスファミド併用(処方)オラパリブ錠150 mg 1 回2 錠(1 日4 錠)1 日2 回 朝夕食後 7 日分
検査の対象となったHER2 タンパク質及び BRCA 遺伝子に関する記述のうち、誤っているのはどれか。1つ選べ。
- ⑴ 乳がんではHER2 タンパク質の過剰発現が高頻度でみられる。乳がんの約15〜20%でHER2タンパク質の過剰発現がみられ、正しい記述です。
- ⑵ HER2 タンパク質は、受容体型チロシンキナーゼである。HER2は細胞内にチロシンキナーゼ領域をもつ受容体型チロシンキナーゼで、正しい記述です。
- ⑶ BRCA 遺伝子は、GTP 結合タンパク質をコードしている。BRCA遺伝子はDNA修復に関わるタンパク質をコードしており、GTP結合タンパク質ではないので誤りです。
- ⑷ BRCA 遺伝子は、DNA 修復に関わるタンパク質をコードしている。BRCA遺伝子は相同組換えによるDNA二本鎖切断の修復に関わるタンパク質をコードしており、正しい記述です。
- ⑸ 遺伝性乳がんでは、高頻度で BRCA 遺伝子に変異がみられる。遺伝性乳がんではBRCA1・BRCA2遺伝子の変異が高頻度にみられ、正しい記述です。
解説
正解は⑶です。BRCA1とBRCA2はがん抑制遺伝子で、DNAの二本鎖切断を相同組換えによって修復するタンパク質をコードしています。GTP結合タンパク質をコードするのはRAS遺伝子などで、BRCA遺伝子ではありません。遺伝性乳がん卵巣がん症候群ではBRCA遺伝子の生殖細胞系列変異が高頻度にみられ、PARP阻害薬のオラパリブが有効です。HER2は受容体型チロシンキナーゼで、乳がんの約15〜20%で過剰発現がみられます。
出典:厚生労働省ホームページ(https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000198923.html)を加工して作成