抗がん薬を数十から百ナノメートル程度の大きさのリポソームや高分子ミセルに封入する…
抗がん薬を数十から百ナノメートル程度の大きさのリポソームや高分子ミセルに封入すると、正常な組織よりも固形がんの組織に多く集まる。この現象についての説明として、正しいのはどれか。
- ⑴ この現象は、粒子の表面に付けた抗体ががん細胞の抗原に結合して起こる能動的ターゲティングである。抗体などの認識素子を用いずに粒子の大きさだけで起こるので、受動的ターゲティングに分類されます。
- ⑵ 腫瘍の新しい血管は内皮細胞の隙間が大きく、漏れ出た微粒子がリンパ系で回収されにくい。これはEPR効果と呼ばれ、粒子の大きさを利用した受動的ターゲティングにあたります。
- ⑶ 粒子の大きさが数ナノメートル以下の小さなものほど、腫瘍の組織に長くとどまりやすい。小さすぎる粒子は腎臓からすぐに排泄され、腫瘍の組織からも拡散で抜け出てしまいます。
- ⑷ 粒子の表面に正の電荷をもたせると、肝臓や脾臓の細胞に取り込まれにくくなり、血中に長くとどまる。血中滞留性を高めるにはポリエチレングリコールで表面を覆って中性に近づけるのが一般的で、強い電荷はむしろ取り込みを促します。
- ⑸ 腫瘍の血管は正常組織より内皮細胞のつながりが密で、高分子は正常組織の方へ多く移る。腫瘍の新しい血管は構造が未熟で隙間が多く、高分子や微粒子が漏れ出やすくなっています。
解説
正解は⑵です。固形がんでは急速につくられた新しい血管の内皮細胞の間に隙間が多く、またリンパ系による回収も不十分です。そのため数十から百ナノメートル程度の微粒子は腫瘍の組織に漏れ出て長くとどまり、この現象はEPR効果と呼ばれます。抗体などを用いず粒子の大きさを利用するので、受動的ターゲティングに分類されます。血中に長くとどめるには表面をポリエチレングリコールで覆う工夫が用いられます。
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