イリノテカン塩酸塩水和物を有効成分とするオニバイド点滴静注に関する記述のうち、正…
抗悪性腫瘍薬であるイリノテカンはプロドラッグである。この薬物の製剤と代謝に関する以下の問に答えよ。
イリノテカン塩酸塩水和物を有効成分とするオニバイド点滴静注に関する記述のうち、正しいのはどれか。2つ選べ。なお、本製剤は以下の添加物を含む。添加物1,2-ジステアロイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン、コレステロール、N-(カルボニル-メトキシポリエチレングリコール-2000)-1,2-ジステアロイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミンナトリウム塩、4-(2-ヒドロキシエチル)-1-ピペラジンエタンスルホン酸
- ⑴ イリノテカンをポリエチレングリコール誘導体で可溶化した製剤である。PEG誘導体は可溶化剤ではなく、リポソーム膜表面の修飾に使われています。製剤の本体はリポソームです。
- ⑵ ポリエチレングリコールで表面が修飾されたリポソーム製剤である。リン脂質とコレステロールで構成されたリポソームの表面がPEG結合リン脂質で修飾されたステルス型リポソームです。
- ⑶ 能動的ターゲティングにより腫瘍に集積する。抗体やリガンドを結合した能動的ターゲティングではなく、EPR効果による受動的ターゲティングで腫瘍に集積します。
- ⑷ 細網内皮系を回避することにより血中に滞留する。PEGの水和層によりオプソニン化や肝・脾の細網内皮系による捕捉を回避し、血中滞留性が高まります。
- ⑸ 製剤中に含まれる微粒子は150 μm 程度である。EPR効果を利用するには数十〜百数十nm程度が必要で、150 μmもの大きさでは静注製剤として成り立ちません。
解説
正解は⑵と⑷です。添加物のジステアロイルホスファチジルコリンとコレステロールは脂質二重膜を形成し、ポリエチレングリコール(PEG)結合リン脂質が膜表面を修飾していることから、本剤はPEG修飾リポソーム製剤だと分かります。PEG修飾により細網内皮系による捕捉を回避して血中に長く滞留し、腫瘍の血管透過性亢進(EPR効果)による受動的ターゲティングで腫瘍に集積します。粒子径は約100 nm程度と考えられます。
出典:厚生労働省ホームページ(https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000198926.html)を加工して作成