30歳の女性が、フェノバルビタールを多量に服用して救急搬送された。治療の一つとし…
30歳の女性が、フェノバルビタールを多量に服用して救急搬送された。治療の一つとして炭酸水素ナトリウムの点滴が行われた。この処置がフェノバルビタールの排泄を速める理由として、正しいのはどれか。
- ⑴ 炭酸水素ナトリウムが尿細管の有機カチオン輸送体を活性化し、分泌を増やすため。フェノバルビタールは弱酸性で、有機カチオン輸送体の基質ではありません。
- ⑵ 炭酸水素ナトリウムが腸管内で薬物と結合して不溶性の塩をつくり、便中へ排泄させるため。点滴で投与した炭酸水素ナトリウムは腸管内で薬物と結合するのではなく、尿のpHを変えて作用します。
- ⑶ 尿をアルカリ性にすると分子形の割合が増え、糸球体でろ過される量が増えるため。弱酸性薬物はアルカリ性でイオン形が増えます。ろ過量は主に遊離形の濃度で決まり、分子形かどうかには左右されません。
- ⑷ 尿をアルカリ性にすると弱酸性薬物のイオン形の割合が増え、尿細管での再吸収が減るため。イオン形は細胞膜を通りにくく、尿細管で再吸収されないまま尿中へ排泄されます。
- ⑸ 血液がアルカリ性になると血漿たんぱく結合が強まり、腎臓へ運ばれる量が増えるため。たんぱく結合が強まると遊離形が減り、ろ過される量はむしろ減ります。
解説
正解は⑷です。腎臓では、糸球体でろ過された薬物のうち分子形のものが尿細管で受動的に再吸収されます。弱酸性のフェノバルビタールは、尿をアルカリ性にするとイオン形の割合が増え、細胞膜を通りにくくなるため再吸収が減り、排泄が速まります。同じ考え方は、サリチル酸などの弱酸性薬物の中毒でも用いられます。逆に弱塩基性薬物では、尿を酸性にするとイオン形が増えて排泄が速まります。
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