78歳の男性。慢性心不全でエナラプリルとスピロノラクトンを服用している。定期の血…
78歳の男性。慢性心不全でエナラプリルとスピロノラクトンを服用している。定期の血液検査で血清カリウム値の上昇がみられ、薬剤師が処方医への情報提供を検討した。伝える内容として、最も適切なのはどれか。
- ⑴ エナラプリルとスピロノラクトンがカリウムの尿中排泄を増やすため、カリウム製剤の追加を提案する。両剤はカリウムの排泄を減らす方向に働き、カリウム製剤の追加はさらに血清値を上げます。
- ⑵ エナラプリルが腎臓でのカリウムの再吸収を抑えているため、エナラプリルの増量を提案する。エナラプリルはアルドステロンの分泌を減らしてカリウムを保持させるため、増量は逆効果です。
- ⑶ 血清カリウムの上昇は果物の食べすぎによるもので、処方を見直す必要は低いと伝える。食事も影響しますが、カリウムを保持させる2剤の併用は重要な原因として検討すべきです。
- ⑷ スピロノラクトンがナトリウムの再吸収を強めているため、塩分を多めにとる食事を提案する。スピロノラクトンはナトリウムの再吸収を抑える薬で、塩分を増やす根拠にはなりません。
- ⑸ 2剤がともにカリウムを体内に保持する方向に働くため、高カリウム血症の原因として処方の見直しを提案する。両剤ともアルドステロンの作用を弱めてカリウムの排泄を減らすため、併用で高カリウム血症が起こりやすくなります。
解説
正解は⑸です。エナラプリルはアンジオテンシン変換酵素を阻害してアルドステロンの分泌を減らし、スピロノラクトンはアルドステロンの受容体を遮断します。どちらも遠位尿細管や集合管でのカリウムの排泄を減らす方向に働くため、併用すると高カリウム血症が起こりやすく、高齢者や腎機能の低下した患者ではとくに注意が必要です。不整脈の危険もあるため、検査値の変化を処方医に伝え、用量の調節や他剤への変更を提案します。
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