アスピリンを大量に服用した患者に、炭酸水素ナトリウムを投与して尿をアルカリ性にし…
アスピリンを大量に服用した患者に、炭酸水素ナトリウムを投与して尿をアルカリ性にした。これによってサリチル酸の尿中への排泄が増える理由として、最も適切なのはどれか。
- ⑴ 尿細管腔でイオン形が増え、尿細管から再吸収されにくくなるため。弱酸のサリチル酸は尿のpHが上がるとイオン形が増え、脂溶性が下がって再吸収が減ります。
- ⑵ 肝臓での抱合が速まり、水溶性の代謝物として尿に出やすくなるため。尿のアルカリ化は肝臓での代謝の速さには影響せず、腎臓での再吸収を変える方法です。
- ⑶ 糸球体でのろ過の速度が上がり、ろ過されるサリチル酸が増えるため。尿のアルカリ化は糸球体ろ過速度をほとんど変えません。変わるのは尿細管での再吸収です。
- ⑷ 有機カチオン輸送体による近位尿細管での分泌が、促されるため。サリチル酸は陰イオンの性質をもつ酸で、有機カチオン輸送体の基質ではありません。
- ⑸ 血漿たんぱく質との結合が強まり、腎臓へ運ばれる量が増えるため。たんぱく質と結合した薬物は糸球体でろ過されないので、結合が強まると排泄はむしろ減ります。
解説
最も適切なのは、尿細管腔でイオン形が増えて再吸収されにくくなるという理由です。尿細管では、脂溶性の高い分子形の薬物が受動拡散で血液側へ戻ります。サリチル酸は弱酸なので、尿をアルカリ性にするとイオン形の割合が増え、尿細管腔に閉じ込められて排泄が増えます。このようにイオン形を増やして再吸収を抑えることをイオントラッピングといい、弱酸性薬物の中毒の治療に利用されます。
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