76 歳の女性。15 年前からの複視が徐々に悪化していると訴え来院した。視力は右…
76 歳の女性。15 年前からの複視が徐々に悪化していると訴え来院した。視力は右1.0(矯正不能)、左0.9(1.0×+0.75 D)。眼位は遠見で6 Δ外斜視16 Δ左上斜視、近見で16 Δ外斜視14 Δ左上斜視である。Bielschowsky 頭部傾斜試験で左傾斜時に左上斜視が増大する。小学生のころの写真で、右への頭部傾斜がみられる。全身疾患や頭部外傷の既往はない。この患者で考えられるのはどれか。2 つ選べ。
- ⑴ 水平融像幅が広い。先天上斜筋麻痺で広くなるのは垂直融像幅です。
- ⑵ 外方回旋複視がある。先天性では感覚的な適応があり、回旋複視を自覚することは少ないです。
- ⑶ 自然治癒がみられる。15年かけて徐々に悪化しており、自然治癒は期待できません。
- ⑷ 左下斜筋の過動がある。左上斜筋の作用が弱く、直接拮抗筋の左下斜筋が過動します。
- ⑸ 右方視で複視が増大する。左眼が内転する右方視で上下偏位が増大し、複視が強くなります。
解説
正解は⑷と⑸です。小学生のころの右への頭部傾斜、左上斜視、左への頭部傾斜で左上斜視が増大するBielschowsky頭部傾斜試験陽性から、左先天上斜筋麻痺が加齢とともに代償できなくなった状態と考えられます。左上斜筋の作用が弱いため、直接拮抗筋である左下斜筋が過動します。左上斜筋の作用方向は左眼の内下転、すなわち右下方視なので、右方視で上下偏位と複視が増大します。先天性で感覚的な適応があるため回旋複視は少なく、広いのは垂直融像幅です。
出典:厚生労働省ホームページ(https://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iryou/topics/tp260424-10.html)を加工して作成