70 歳の女性。上顎義歯が脱離しやすいことを主訴として来院した。1 年前に上顎前…
70 歳の女性。上顎義歯が脱離しやすいことを主訴として来院した。1 年前に上顎前歯を抜歯し、義歯を修理したという。検査の結果、安静空隙量が6 mm であった。下顎左側臼歯部の義歯は使用していない。治療計画として、上顎は義歯修理、下顎は治療用義歯にて治療を行い、その後に上下顎新義歯を製作することとした。初診時の口腔内写真(別冊No. 21A)、使用中の義歯装着時の口腔内写真(別冊No. 21B)及び使用中の義歯の写真(別冊No. 21C)を別に示す。新義歯製作開始までの過程において、上顎義歯の修理で考慮すべきなのはどれか。2 つ選べ。
- ⑴ 水平的な顎間関係を確認する。咬合高径の低下に伴い下顎位がずれていることがあるため、水平的な顎間関係を確認します。
- ⑵ リラインには軟質材料を用いる。軟質リライン材は顎堤の疼痛対策などに用いるもので、本例の脱離や咬合高径の問題の解決には適しません。
- ⑶ 上下顎前歯部での咬合を緊密にする。前歯部で緊密に咬ませると上顎義歯の前方が突き上げられ、後方が浮き上がって脱離しやすくなります。
- ⑷ 上顎前歯人工歯の切縁を1/2 削除する。人工歯切縁を1/2削除するのは過剰で審美性を損ないます。必要なのは咬合高径の回復です。
- ⑸ 咬合高径を挙上して上顎臼歯部人工歯咬合面を再形成する。安静空隙量が過大なため、臼歯部人工歯の咬合面を再形成して咬合高径を挙上します。
この問題は別冊の図版(写真・図・表など)を見て答えます。図はこちらに転載していないため、下の出典のページから公式のPDFをご覧ください。解説だけでも読み取り方が分かるように書いています。
解説
正解は⑴と⑸です。写真は提示されていませんが、安静空隙量が6mmと標準の2〜3mmより大きく、使用中の義歯の咬合高径が低下していると考えられます。新義歯の製作前に、上顎義歯の臼歯部人工歯の咬合面を常温重合レジンなどで再形成して咬合高径を挙上し、適正な顎間関係で咬合させます。その際、咬合高径の低下に伴って下顎が前方に偏位していることがあるため、水平的な顎間関係(中心咬合位)も確認します。前歯部で緊密に咬ませると義歯が脱離しやすくなります。
出典:厚生労働省ホームページ(https://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iryou/topics/tp260424-02.html)を加工して作成