62歳の男性。アルコール性の肝硬変で内科に通院している。歯科治療の予約の日に、家…
62歳の男性。アルコール性の肝硬変で内科に通院している。歯科治療の予約の日に、家族に付き添われて来院したが、つじつまの合わない受け答えをし、手を前に伸ばすと手首がはばたくように震えた。血液検査で血中のアンモニアの値が高かった。この状態が起こる仕組みとして最も適切なのはどれか。
- ⑴ 胆嚢で胆汁が過剰に作られ、胆汁酸が血液に入って脳に作用した。胆汁は肝臓で作られ胆嚢にたまるもので、この意識障害の機序ではありません。
- ⑵ 骨格筋でグリコーゲンが過剰に分解され、乳酸が脳にたまった。乳酸の蓄積は激しい運動などで起こるもので、アンモニアの上昇とは関係しません。
- ⑶ 腎臓でクレアチニンが排泄されず、血液中にたまって脳に作用した。クレアチニンの上昇は腎機能の低下を示し、肝硬変の意識障害の主な原因ではありません。
- ⑷ 膵臓でインスリンが過剰に作られ、血糖が下がり続けて脳に作用した。インスリンの過剰は低血糖を起こしますが、血中のアンモニアは上がりません。
- ⑸ 肝臓で尿素を作る回路が働かず、アンモニアが血液中にたまった。アンモニアは肝臓の尿素回路で尿素に変えられますが、肝硬変ではこれが滞ります。
解説
最も適切なのは、肝臓で尿素を作る回路が働かず、アンモニアが血液中にたまったという仕組みです。アミノ酸の分解や腸内細菌の働きで生じたアンモニアは、肝臓の尿素回路で無毒な尿素に変えられ、腎臓から排泄されます。肝硬変では肝細胞が減り、門脈の血液が肝臓を迂回するため、アンモニアが脳に達して意識の障害や羽ばたき振戦を起こします。これを肝性脳症といい、歯科治療は延期して内科に連絡します。
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