86歳の女性。寝たきりで介護施設に入所している。この5日間排便がなかったが、昨日…
86歳の女性。寝たきりで介護施設に入所している。この5日間排便がなかったが、昨日から少量の水のような便が何度もおむつに漏れ出ている。腹部はやや張っているが、圧痛はなく、発熱もない。直腸指診で、直腸の中に硬い便の大きな塊を触れる。この下痢の原因として最も適切なのはどれか。
- ⑴ 甲状腺の働きが強くなりすぎて、腸の動きが速くなっている。直腸に硬い便の塊を触れており、腸の動きが速くなっているとは考えられません。
- ⑵ 直腸に硬い便の塊が詰まり、その脇から液状の便だけが漏れ出ている。便の塊で直腸がふさがると、上から来た液状の便が塊の脇を通って漏れ出し、下痢のように見えます。
- ⑶ 大腸の粘膜に慢性の炎症が起こり、血の混じった下痢を繰り返している。血便や腹痛はなく、数日間の便秘のあとに起こった経過は、炎症性の腸の病気とは合いません。
- ⑷ 抗菌薬の使用で腸内の細菌のバランスが崩れ、毒素を出す菌が増えた。抗菌薬を使った経過はなく、直腸の硬い便の塊が下痢の原因を説明します。
- ⑸ 腸に細菌が感染して炎症が起こり、腸から水分が大量に分泌されている。感染性腸炎なら発熱や腹痛を伴うことが多く、直腸に硬い便の塊がある所見とは合いません。
解説
直腸に硬い便の塊が詰まり、その脇から液状の便だけが漏れ出ていると考えられます。寝たきりの高齢者では、腸の動きの低下や腹圧の弱さから便が直腸にたまり、硬い塊になることがあります。その上流の液状の便が塊の脇をすり抜けて少しずつ漏れ出すと、下痢のように見えます。この状態で下痢止めを使うと悪化するため、直腸指診で確かめ、摘便や浣腸で塊を取り除きます。
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