トラスツズマブ デルクステカンは抗体薬物複合体(ADC)である。本 ADC の特…
58 歳女性。2 年前に右乳房の浸潤性乳管がんと診断され、右乳房全切除及び腋窩リンパ節郭清が施行された。病理検査の結果、ホルモン受容体陰性、HER2 に対する免疫組織化学染色 1+の HER2 低発現乳がんと診断され、術後補助療法として放射線治療(胸壁・鎖骨上窩照射)が施行された。半年前、局所再発及び肺転移が確認され、ドキソルビシン+シクロホスファミド併用療法にて全身化学療法が開始された。初期には治療が奏効していたが、4 コース後に画像上で肺転移及び鎖骨上窩リンパ節の増大を認めた。今回の入院では、トラスツズマブ デルクステカンを導入することになった。
トラスツズマブ デルクステカンは抗体薬物複合体(ADC)である。本 ADC の特徴に関する記述として、正しいのはどれか。2つ選べ。
- ⑴ 抗体と薬物の結合は非共有結合である。抗体と薬物はリンカーを介して共有結合しており、非共有結合ではありません。
- ⑵ 薬物抗体比(抗体1 分子あたりの結合薬物数)は1 である。本剤の薬物抗体比は約8と高く、1ではありません。
- ⑶ 能動的ターゲッティング製剤である。抗体がHER2を認識して標的細胞に送達する能動的ターゲティング製剤であり、正答です。
- ⑷ 受動輸送で細胞内に取り込まれる。細胞内への取り込みは受容体介在性エンドサイトーシスによるもので、受動輸送ではありません。
- ⑸ リソソーム内で分解されて、薬物が遊離される。細胞内に取り込まれた後、リソソーム内の酵素でリンカーが切断され薬物が遊離するため正答です。
解説
正解は⑶と⑸です。トラスツズマブ デルクステカンは、抗HER2抗体にトポイソメラーゼⅠ阻害薬デルクステカンを切断可能なペプチドリンカーで共有結合させた抗体薬物複合体で、薬物抗体比は約8です。抗体がHER2を認識して結合する能動的ターゲティング製剤で、受容体介在性エンドサイトーシスにより細胞内へ取り込まれた後、リソソーム内の酵素でリンカーが切断されて薬物が遊離します。受動輸送で取り込まれるわけではありません。
出典:厚生労働省ホームページ(https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000198929.html)を加工して作成