この患者に使用される薬物の作用機序で、副作用の発現にも関連しているのはどれか。2…
57 歳女性。身長 161 cm、体重 60 kg、体表面積 1.562 m²。アルコール過敏症あり。HER2 陽性の再発乳がんと診断され、多発骨転移及びリンパ節転移を認めたため、外来で抗 HER2 療法を含む化学療法(トラスツズマブ+ペルツズマブ+ドセタキセル)が以下のレジメンで開始されることとなった。併せて処方1 も開始されることになった。この患者に対するレジメン及び処方について、カンファレンスが開かれた。(初回コース:トラスツズマブ+ペルツズマブ+ドセタキセル療法レジメン)一般名 標準投与量 投与速度 投与日 投与期間トラスツズマブ 8 mg/kg 90 分ペルツズマブ 840 mg/body 60 分 Day 1 3 週毎ドセタキセル(注) 75 mg/m² 60 分(注:ドセタキセルはエタノール無添加の製剤を使用)(処方1 )デノスマブ(遺伝子組換え)皮下注(120 mg/1.7 mL) 1 バイアル1 回 120 mg 皮下注射
この患者に使用される薬物の作用機序で、副作用の発現にも関連しているのはどれか。2つ選べ。
- ⑴ 神経細胞の軸索輸送に関わる微小管の脱重合を阻害する。ドセタキセルは微小管の脱重合を阻害し、軸索輸送障害による末梢神経障害の原因にもなるため正答です。
- ⑵ DNA トポイソメラーゼⅠを阻害し、アポトーシスを誘導する。トポイソメラーゼⅠ阻害はイリノテカンなどの作用で、この患者のレジメンには含まれません。
- ⑶ B 細胞上の CD20 に結合し、B 細胞の機能を低下させる。CD20に結合するのはリツキシマブで、乳がんのこのレジメンには含まれません。
- ⑷ RANKL(NF-κB 活性化受容体リガンド)に結合し、破骨細胞の分化を阻害する。デノスマブはRANKLに結合して破骨細胞分化を阻害し、低カルシウム血症の原因にもなるため正答です。
- ⑸ 血管内皮細胞上の血管内皮細胞増殖因子受容体(VEGFR)に結合し、血管新生を阻害する。VEGFRに結合するのはラムシルマブなどで、この患者に使用される薬物ではありません。
解説
正解は⑴と⑷です。ドセタキセルはチューブリンの重合を促進し微小管の脱重合を阻害して細胞分裂を止めますが、神経細胞の軸索輸送に関わる微小管にも作用するため、末梢神経障害の原因となります。デノスマブはRANKLに結合して破骨細胞の分化・活性化を阻害し骨吸収を抑えますが、その結果として低カルシウム血症や顎骨壊死を起こします。トポイソメラーゼⅠ阻害、CD20結合、VEGFR結合はこの患者に使用される薬物の作用機序ではありません。
出典:厚生労働省ホームページ(https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000198929.html)を加工して作成