双極性障害に用いられる薬物の薬理作用に関する記述として、正しいのはどれか。2つ選…
30 歳女性。高校3 年生のときにきっかけもなく元気がなくなり、3 ケ月間学校を休んだことがあったが、特に治療を受けずに回復した。その後は順調であったが、1 ケ月前に急に元気がなくなり、会社を休んだりしていた。ここ数日は「偉大な発見をしたので、自分には特別な才能がある」と言ったり、誰彼構わず夜中に電話をするといった状態が持続するため、母親に連れられて来院した。母親によると2 週間前から母親と話していても、話の内容が次々と脱線し、話している内容がまとまらない、些細なことを契機に怒り出すなど、普段とは異なる行動がみられた。睡眠をほとんどとっていないが、本人は疲れを感じていない。親戚や友人への電話で家や車の購入計画などを話し、相手が反対すると激怒するようになった。血液生化学検査、脳画像検査、脳波検査、脳脊髄液検査で異常はない。飲酒・喫煙歴なし。違法薬物の使用歴もない。診察の結果、患者は双極性障害と診断された。
双極性障害に用いられる薬物の薬理作用に関する記述として、正しいのはどれか。2つ選べ。
- ⑴ 炭酸リチウムは、イノシトール 1-リン酸分解酵素を阻害し、ホスファチジルイノシトール(PI)代謝回転を亢進させる。炭酸リチウムはイノシトールモノホスファターゼを阻害し、PI代謝回転を亢進ではなく抑制します。
- ⑵ オランザピンは、電位依存性 Ca²⁺ チャネルの α2δ サブユニットに結合し、興奮性神経伝達物質の遊離を抑制する。オランザピンはD2・5-HT2A受容体などの遮断薬です。α2δサブユニットに結合するのはプレガバリンなどです。
- ⑶ アリピプラゾールは、ドパミン D2 受容体及びセロトニン 5-HT1A 受容体に対して部分刺激薬として作用する。アリピプラゾールはD2受容体と5-HT1A受容体の部分刺激薬として作用します。
- ⑷ カルバマゼピンは、γ-アミノ酪酸(GABA)トランスアミナーゼを阻害し、脳内 GABA 量を増加させる。カルバマゼピンは電位依存性Na⁺チャネル遮断薬です。GABAトランスアミナーゼを阻害するのはバルプロ酸などです。
- ⑸ ラモトリギンは、電位依存性 Na⁺ チャネルを遮断し、神経細胞の過剰興奮を抑制する。ラモトリギンは電位依存性Na⁺チャネルを遮断し、神経の過剰興奮を抑制します。
解説
正解は⑶と⑸です。アリピプラゾールはドパミンD2受容体とセロトニン5-HT1A受容体の部分刺激薬で、5-HT2A受容体は遮断し、双極性障害の躁症状に用いられます。ラモトリギンは電位依存性Na⁺チャネルを遮断してグルタミン酸などの遊離を抑え、双極性障害の気分エピソードの再発抑制に用いられます。炭酸リチウムはイノシトールモノホスファターゼを阻害してPI代謝回転を抑制します。オランザピンはD2・5-HT2A受容体などの遮断薬で、α2δサブユニットに結合するのはプレガバリンなどです。カルバマゼピンはNa⁺チャネル遮断薬です。
出典:厚生労働省ホームページ(https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000198929.html)を加工して作成