3 日後には、この患者の意識は完全に回復した。しかし、病棟薬剤師が患者の異変に気…
25 歳女性。身長160 cm、体重55 kg。朝、自室から起床してこないため、心配に思った家族が部屋の中に入ったところ、ベッドの上で仰向けになって意識を失っていた。呼びかけに反応しなかったため、救急隊を要請した。病院搬送時の意識レベルはJapan Coma Scale(JCS)200、血圧100/55 mmHg、脈拍105 拍/分、呼吸15 回/分、体温36.0 ℃であった。採取した尿を用いて定性試験でバルビツール酸類が強陽性であった。家族からの情報によると、女性は以前よりてんかん治療のためフェノバルビタールを常用しており、たびたび体調を崩していた。胃内容物を分析したところ、フェノバルビタールが検出され、過量摂取による意識障害と診断された。
3 日後には、この患者の意識は完全に回復した。しかし、病棟薬剤師が患者の異変に気付き、医師とともに症状を確認したところ、一過性の退薬症状が出現したと考えられた。観察された症状として適切なのはどれか。2つ選べ。
- ⑴ 不安バルビツール酸系薬の退薬症状として、不安や焦燥感が現れます。
- ⑵ 傾眠傾眠は中枢抑制が強い状態、すなわち中毒時の症状であり、退薬症状ではありません。
- ⑶ 手指振戦中枢抑制が急に解除されることで、手指振戦などの退薬症状が現れます。
- ⑷ 発疹発疹は薬物過敏症などでみられる症状で、退薬症状として典型的なものではありません。
- ⑸ 過度の心拍数低下退薬症状では交感神経が亢進して頻脈となることが多く、過度の心拍数低下は典型的ではありません。
解説
正解は⑴と⑶です。フェノバルビタールを常用していた人の血中濃度が急に低下すると、中枢抑制が急に解除されるため、退薬症状(離脱症状)が現れることがあります。バルビツール酸系薬の退薬症状としては、不安、焦燥、不眠、手指振戦、発汗、頻脈などがあり、重い場合はけいれん発作やせん妄が起こります。傾眠や過度の心拍数低下は、むしろ中毒(過量)の状態でみられる症状です。発疹は薬物アレルギーなどでみられるもので、退薬症状ではありません。
出典:厚生労働省ホームページ(https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000198928.html)を加工して作成